エルダー2022年1月号
14/68

2022.112もらう。働くだけではなく地域貢献などのボランティアや仲間を見つけてNPOをつくるなど、そうしたことも含めてセカンドキャリアのきっかけをつくってもらうことが目的です」豊富なカリキュラムでシニアの意識改革を図る基本講座は「時代を知る」、「自分を知る」、「幅を広げる・強みを創る」、「やってみる」の4テーマを軸に構成。選択講座では上記のテーマごとに深掘りした講座を用意し、知識・スキルを学習します。基本講座の柱はマインドセットと活躍をうながす動機づけ。公共事業チーム企画担当シニアコンサルタントの佐藤大輔氏は、「『時代を知る』では、働き方が多様化し、週5日フルタイムで働く形だけではないこと、いまの職場ではセクハラ・パワハラが許されないことなど、働き方の変遷を学びます。『自分を知る』では自分はいったい何をしたいのか、今後の生き方をよく考えること、そして自分の能力を知ることをうながします。また、シニアになると心身の衰えも発生します。『前頭葉が萎縮して感情がコントロールできないこともありますよ』、『ジェネレーションギャップを理解し、周りの人の目線を意識しましょう。おじいさん、おばあさんの振舞いをすると若い人に受け入れられませんよ』と、ときには厳しい話もします。本人が意識変革できるようなイメージで講座を設計しています」と語ります。選択講座ではエクセル、パワーポイントなどのパソコンスキルの修得やNPO設立実践講座、企業見学など実務を学べるプログラムも用意されています。塾生は週2~3日キャンパスに通っており、塾生同士の交流も重視しています。クラス内やクラスを超えた交流会を月に一回程度開催し、仲間づくりをうながしています。「塾生同士の趣味の披露会や公園の散策、卒業生を招いた座談会などを開催しています。半年間机を並べて学ぶので卒業時は仲間意識が強まり、塾生同士でNPOを立ち上げるなどのコミュニティもできています」(弘中氏)シニアの派遣就業を支援する東京キャリア・トライアル65シニアの就業機会拡大を目的として65歳以上のシニアを企業に派遣する「東京キャリア・トライアル65」を、アデコは2018年から受託しています。シニアは派遣先企業で働くスキルの習得を、企業はシニアを活用するノウハウを取得することを目的に、応募企業で1週間から最長2カ月間のトライアル就業をしてもらうもので、派遣期間中の人件費や交通費は東京都が負担します。そのうえで、働き手と会社が互いに合意すれば直接雇用に切り替えるという仕組みです。参加対象者は65歳以上かつ都内で就業を希望する人。東京セカンドキャリア塾の塾生にかぎらず応募することが可能です。募集期間は8月後半から翌年3月までと受講期間と重なりますが、「塾も毎日ではないので受講と並行して就業できますし、塾で学んで気持ちを高め、派遣に登録して働き出す人もいます」(弘中氏)といいます。佐藤大輔氏(左)と弘中淳氏(右)

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る