エルダー2022年1月号
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特集シニアのキャリア・チェンジエルダー13派遣就業までの流れとしては、希望者が登録し、カウンセリングを実施したうえで、企業とのマッチングが行われます。トライアル期間は週2~3日勤務と、柔軟な働き方を設定。この東京キャリア・トライアル65の最大の特徴は、事務職、営業職、IT技術職など、ホワイトカラー職種に限定されていることです。「シニアが仕事を自分で探すとなると、清掃、警備といった、いわゆるブルーカラー系の仕事が多いのが現実です。登録の際に当社のカウンセラーがこれまでの経験をふまえてできること、そしてこれからやりたいことをしっかりと聞いてマッチングします。ただ、登録する人の多くは『自分ができる範囲でやってみたいので幅広く紹介してほしい』といわれる人が多いですね。実際にやりたい仕事にこだわりがあると、ピンポイントで探すのはむずかしく、なかなか仕事が決まらないのが現実です」(弘中氏)派遣就業先の開拓はアデコが実施しており、登録、マッチングやカウンセリングを行うほか、専業の営業担当者が企業開拓の役割をになっています。「アデコが保有する派遣先だけではなく、いろいろな業種の企業に幅広く声をかけています。営業担当者が専用のパンフレットを持参し、シニアのポテンシャルと活用方法を企業に説明します。個人名を消した職務経歴書をみせて、みなさんが具体的に高い能力をもっていることを説明し、『年齢や印象で“ノー”といわず能力をみてください』という話の進め方をしながら開拓しています」(佐藤氏)就業の実態からみる企業がシニアに求める役割とは実際に派遣就業している人はどのくらいいるのでしょうか。東京キャリア・トライアル65全体(2018〜2020年)では登録者は延べ2000人、うち約半分の1000人近い人が就業しています。就業先の業態は小売、広告、IT、製造業と幅広く、中小企業が9割以上を占めています。2020年度の事業実績では、約500件の求人案件に対し、400人以上のシニアを派遣しました。登録者の派遣先職種では、男性でもっとも多いのが営業の23・2%、次いで一般事務・OA事務の18・8%、SE・プログラマーなどIT職12・0%となっています。また、女性でもっとも多いのは一般事務・OA事務の36・5%、受付の24・5%、テレオペレーターの6・3%です(図表)。仕事の内容は、現状では定型業務が多くを占めています。「派遣期間が長くないので、あくまで正社員のサポートという位置づけです。企業にも『定型業務を生産性の高い社員に行わせるのはもったいない。派遣就業を受け入れてもらえば、社員をよりコアな業務に充てることができます』という営業トークもしています」(佐藤氏)派遣就業先は第1期目以降、徐々に拡大しています。「1期目に企業開拓したときは、シニアを受け入れることをためらう企業もありましたが、実際に受け入れた企業が、2期目、3期目と継続して受け入れるケースも増えています。また、中小企業のなかには若手の採用がむ※アデコ提供資料より作成図表 東京キャリア・トライアル65参加者の派遣先職種010203040010203040営業一般事務・OA事務SE・プログラマー等IT職受付事務的軽作業その他(貿易事務、人事・総務、システムエンジニア、システムコンサルタント、メカトロニクス等)一般事務・OA事務受付テレオペレーター経理・財務営業その他(教育関連、Web制作、英文事務、営業事務)23.2%23.6%18.8%12.0%6.4%6.4%36.5%24.5%6.3%5.0%5.0%17.0%男性(n=167)女性(n=159)

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