エルダー2022年1月号
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特集シニアのキャリア・チェンジエルダー17がある方たちばかりなので、むしろ周りに好影響を与えてくれています。いまでは会社の大きな財産になっています」(岩佐さん)定年後の継続雇用で職種変更継続雇用終了後に新たな世界へ飛び込む株式会社パソナグループのHR本部グループHR部人財開発チームでワークライフファシリテーターとして活躍する岩いわ田た義よし康やすさん(68歳)は、66歳のときに、エルダーシャイン1期生として採用された。もともと総合調査会社の研究開発部門でコンサルタントとして活躍し、コンサルティング事業部全体を統括する取締役として60歳の定年を迎えた。事業を統括してきた貴重な人材だけに、会社からは継続雇用でコンサルティング事業部で引き続き活躍することを求められたが、自身の経験を活かせる役割を模索し人事部と話し合ったところ、「人事部で、人事のコンサルタントとして、会社の若いメンバーのキャリア相談に乗ったり、採用にたずさわってはどうか」と提案を受けた。これが、それまでのコンサルティング・経営管理業務から、人事部門へと大きく業務の転換をしたターニングポイントになった。60歳を超えて人事部に配属された岩田さんは、キャリアコンサルタントの国家資格を取得し、キャリア研修の講師を務めたり、後輩の相談に乗るなかで、さらに必要な資格を取得していった。継続雇用の節目になる65歳を迎えるにあたり、退職の意思を固め、後任が決まるまで一年延長をして66歳で退職に至った。「2020(令和2)年3月に退職することが決まったので、これからも働くなら、60歳以降取り組んできたキャリアコンサルタントの分野の仕事ができたらと考えました。そんなとき、たまたま友人から、パソナグループで定年退職した人材の募集をしていると聞いて、説明会に参加し、スペシャリストコースにあるワークライフファシリテーターの職種に応募しました。現在は、幅広い年代の社員からのキャリア関連や、病気療養後の職場復帰などについての相談業務を行っています。社内で活躍している人たちに、できるだけ長く活き活きと働いてもらえるよう支援をしていきたいですし、相談に乗ることで、みなさんのお役に立てていることを実感しています。相談業務のほかにも、新役職者研修や、50歳対象のミドル層研修といったキャリア研修の講師を務めています」(岩田さん)岩田さんは60歳のときに仕事内容をチェンジした。新しいことに飛び込み、それによって新しい資格を取得。資格取得を通して、自分の知識が広がり、仲間ができ、ネットワークも広がったという。さらに66歳で異業界に飛び込み、いわば、60歳以降にキャリアチェンジを2回経験している。「定年後転職する場合に、これまでキャリアを積んだ業種・業界しかないと思わず、もっと視野を広げて、自分がもっている知識や技術が活かせるなら、どんな業界でもよいのではないでしょうか。例えばパソナグループは人材サービスの会社ですが、幅広い事業を行っているため、それぞれの職場で求められる知識も役割も異なります。年齢を理由に躊ちゅう躇ちょすることなく、チャレンジしてみてほしいですね」(岩田さん)高齢者がつちかってきた長い経験とスキルに、新しい分野にチャレンジする気持ちをかけ合わせると、これまでとは異なる役割とやりがいを得ることができるようだ。キャリア・チェンジを経て活き活きと働く高齢者は、職場や企業にとって新鮮な戦力として影響を与えている。エルダーシャインとして活躍している岩田義康さん

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