エルダー2022年1月号
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2022.118医療的ケア児とその家族のための短期入所施設﹁もみじの家﹂医療の発達により、生まれつき重い病気を抱える多くの子どもたちの命が救えるようになってきた。その一方で、退院後、在宅で人工呼吸や痰の吸引などのケアを続けながら生きていく「医療的ケア児」が増えている。病児・障害児を受け入れる保育所や学校などは決して多いとはいえず、家族の負担は極めて重い。こうした子どもたちの健やかな成長をサポートし、家族の生活を支えるために設立されたのが、国立成育医療研究センターが運営する医療型短期入所施設「もみじの家」だ。国立成育医療研究センターは、東京都世田谷区にある小児・周産期医療をになう日本最大の医療研究センターである。その病院棟に隣接する2階建ての建物が「もみじの家」である。ここでは、自宅で医療的ケアを受けている子どもとその家族を短期間受け入れ、同世代の子どもたちと遊んだり学んだりと自宅ではなかなかできないことをして過ごすプログラムを提供するとともに、一時でもケアを引き受けることで、家族の緊張を解き、生活をサポートしている。NHKアナウンサーから︑50代で福祉施設のハウスマネージャーにこの「もみじの家」で、2016(平成28)年の開設時からハウスマネージャーを務める内多勝康さん(58歳)は、元NHKアナウンサーという異色の経歴を持つ。「首都圏ニュース845」、「生活ほっとモーニング」、「クローズアップ現代」などで活躍する姿をご記憶の方も多いだろう。テレビ局のアナウンサーという華やかな職を52歳で離れ、福祉の現場へ︱︱まったくつながりがないようにみえるが、内多さん自身の認識は違う。「NHKでは、みている人に幸せになってほしい、社会をよくしたいという思いで番組国立研究開発法人国立成育医療研究センター﹁もみじの家﹂︵東京都世田谷区︶ハウスマネージャーNHKアナウンサーから福祉の世界へ転身たどり着いたのは﹁自分が落ち着ける居場所﹂内うち多だ勝かつ康やすさん内多勝康さん

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