エルダー2022年1月号
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エルダー25新春特別企画生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム高年齢者雇用安定法の変遷高年齢者雇用安定法は、1986(昭和61)年に制定されました。事業主が定年を定める場合、その定年年齢は60歳未満としてはならないという努力義務が設けられ、1994(平成6)年の改正でそれが義務化されました。この内容は現在も変わっておりません。もう一つの流れとして、60歳定年制とあわせて65歳までの継続雇用を推進する努力義務が1990年に設けられ、2000年に65歳までの雇用確保が努力義務となり、その後の法改正で、65歳までの雇用確保措置が義務化されました。そして、新たに大きな流れとなるのが2021(令和3)年4月に施行された改正です。70歳までの就業確保措置を講ずることが努力義務として新設されました。人生100年時代を迎えるなか、働く意欲がある高年齢者の方々がその能力を十分に発揮し、継続して活躍できる環境整備を図っていくことを目的としたものです。2020年の「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在、31人以上規模の企業)によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置は99・9%の企業で導入されています。また、高年齢者雇用確保措置を超えて66歳以上まで働ける制度のある企業割合は33・4%となっており、前年より約3%増加しています。さらに、70歳以上まで働ける制度のある企業の割合も3割を超えています。これらは今回の改正高年齢者雇用安定法施行前のデータですが、企業規模を問わず、企業の取組みが自発的に進められてきていることがうかがえます。一方、高年齢者の就業率の推移をみると、2020年現在では、60歳から64歳の就業率は7割超、65歳から69歳では約5割、70歳以上はまだ水準は低いのですが2割に近づいており、少しずつ上昇している状況にあります(図表)。また、高齢期の身体機能は向上し、平均寿命と健康寿命も伸びてきています。そうしたな〜高年齢者雇用安定法改正の ねらいと意義を中心に〜厚生労働省 職業安定局 高齢者雇用対策課長 野﨑伸一講 演 高年齢者の就業機会確保に向けて60~64歳65~69歳70歳以上01020304050607080(%)200506202019181716151413121110090807※シンポジウム資料より作成図表 就業率の推移○ 60~64歳層で、雇用確保措置の導入が義務付けられた改正高齢法施行(2006年4月1日)後、就業率が上昇。○65~69歳層は、近年は上昇傾向にある。高年齢者雇用確保措置義務化(対象者の限定可)高年齢者雇用確保措置義務化(原則希望者全員)71.0%49.6%17.7%

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