エルダー2022年1月号
29/68

エルダー27新春特別企画生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム高齢期に第一線で活躍するためには本人の意識と企業の施策の両立が大事日本は世界一の高齢社会になり、全人口に占める高齢者の割合がほぼ3割まで上がってきています。このような社会の活力を維持するには、何歳になっても働き続けて、社会を支える側に居続ける人が多くなることが求められます。高齢期になっても社会の第一線で活躍し続けてもらうためには、本人の高い意識とともに、企業としても、その方々のモチベーションを高めていく施策が重要です。ただ、高齢化しているのは従業員だけではなく、お客さまも高齢化しています。高齢期の人たちが抱えているさまざまな問題は、20代にはなかなか理解できませんので、高齢者の気持ちがわかる高齢社員は貴重な戦力になるのです。本日はこうしたことをふまえて、高齢者を「くれない族」にしない、ならないために必要なことを考えていきたいと思います。高齢期になって、「会社は自分にふさわしい仕事を用意してくれない4444」、「職場の仲間は自分のたいへんさをわかってくれない4444」、このように自分の状態がよくないことをほかの人のせいにしてしまう。そういう人を、「くれない族」と私は表現しています。そうならないための秘訣をお話しします。20代からの積重ねが高齢になってからの活躍につながる2021(令和3)年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業確保措置が事業主の努力義務として新設されました。法律が改正されるのは社会が変わってきているからで、企業もその変化に対応していくことが求められます。また、高齢者が増えていく状況をどのように解決していくのか。うまくいく方法を私たちが生み出していくと、ほかの国の手本になることができます。そういう意味でも、非常にチャレンジングなテーマであると思います。「高齢者雇用のあり方を考える」というと、とかく50代後半から60代が話題になりますが、実は20代のときの働き方とも関連があります。というのも、第一線で活躍されている多くの60代の方にインタビューをすると、ほとんどの方が50代でよい仕事をされています。50代でよい仕事をされた方々は、40代のときに輝いていました。30代、20代もそうです。要するに、20歳前後で働き始めてからの集大成が60代なのです。〜生涯現役社会を目指して〜法政大学経営大学院 イノベーション・マネジメント研究科 教授 藤村博之基調講演 高年齢者雇用が企業を強くする

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る