エルダー2022年1月号
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2022.130定年延長や70歳までの継続雇用制度導入時の工夫、その後の効果について藤村 はじめに、定年延長や70歳までの継続雇用制度を導入するにあたって工夫した点と、その取組みにより得た効果について、お聞きしたいと思います。定年制度にはその裏側に雇用保障があり、例えば、60歳定年であれば、企業は少なくとも60歳までは雇用を守るということになります。ですから、定年の延長について、多くの企業は慎重になるわけです。しかし、みなさんの会社では、65歳定年、あるいはそれ以上の設定をされています。まずこの点について、「株式会社ササキ」の佐々木さんからお願いします。佐々木 弊社では、2005︵平成17︶年に定年年齢を60歳から65歳に引き上げ、定年後は希望者全員を70歳まで嘱託従業員として継続雇用する制度を導入しました。以降は運用ですが、一定条件のもと年齢上限なく継続雇用をしています。 弊社はものづくりの企業ですので、そのための技能、技術と姿勢を熟練者から若い世代に伝承していくことと、高齢になってもモチベーションを高くもっていてもらいたいこと、そして、あなたの力が必要だということを「見える化」しようと考え、取り組んだことが、定年延長でした。 また、マネジメントの側面から、他社でつちかわれた能力や豊かな経験をもつ高齢人材が、弊社に転職できる仕組みがあることも大事だと考えました。そのことが、若い世代の育成にも役立つとの思いもありました。55歳以上の採用は、過去3年間で10人となっています。藤村 ありがとうございます。年齢ではなく、能力に注目して制度改善を行われたように見受けられました。続きまして、「株式会社アールビーサポート」の服部さん、お願いします。服部 弊社は定年が66歳で、希望者全員70歳まで継続雇用し、その後は会社が必要と認めた場合、年齢上限なく継続して雇用しています。制度導入のきっかけは、やはりマンパワーの確保です。高齢であってもそれまでと変わらない仕事ができる人もいますので、能力があるのに一律に定められた年齢をもって、雇用が止められるという制度に対し、撤廃するべきだという考えも持っていました。 雇用年齢の上限をなくした制度を導入して大きく変わったことは、短時間勤務への変更のように、細く長く働き続けられる選択があることで、結果的にマンパワーを損なうことなく、サー高齢社員活用の最前線 ~コンテスト表彰事例から探る~トークセッション 「生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム」トークセッションから

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