エルダー2022年1月号
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エルダー33新春特別企画生涯現役社会の実現に向けたシンポジウムくっていけばよいのかを考え、進めていくことだと思います。藤村 ありがとうございます。では服部さん、お願いします。服部 40年後には、労働力人口が40%減少するといわれている通り、働き手は確実に減少します。長く勤続してくれるスタッフは、たいへん貴重な存在になります。 実際、定年年齢や継続雇用年齢を引き上げて数年が経ちますが、それによって事業運営に支障をきたしたことはありません。むしろ、高齢従業員のモチベーションアップにつながったこと、これから高齢となるスタッフたちにとって長期勤続できるという安心感といったものが出てきたように感じられ、退職者が減って人員確保につながっています。取り組んだほうがよい、というよりは、取り組まない手はないと思います。 高齢従業員の立場からみても、この先、年金受給年齢の引上げ、介護保険料や医療費自己負担額の増額など、働かなければならない状況に世の中が向かいつつありますので、長く勤められる制度はやはりつくっておいたほうがよいと考えています。藤村 ありがとうございます。高齢者の活躍推進については、中小企業での取組みが目立つながお手本になっており、その姿を次の世代が見て、「自分たちも健康に気をつけてがんばろう」、「勉強して技術を上げよう」というモチベーションにつながっている、そのような効果が出てきていると考えています。藤村 ありがとうございます。70歳までの就業機会の確保に向けて大事な視点や考え方とは?藤村 今回の法改正により、70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務とされました。みなさんの会社は、すでに実行されていますが、これから取り組もうと考えている企業に対して、アドバイスをいただきたく思います。佐々木さんからお願いします。佐々木 視点は二つあると思います。一つめは、経営にたずさわる人たちの考え方です。弊社ではいま、多様性への取組みを強化していますが、特に、高齢者が働きやすい職場環境をつくることは、経営者の役目であると考えています。経営者がまず、こうした認識をもつことが大切ではないかと思います。 二つめは、高齢の方が働いているのがあたり前、という社風や雰囲気をつくっていくこと。これは経営者だけではできませんので、社内の仲間を巻き込みながら、どういう仕組みをついます。第一線で働き続けてもらうための工夫ともいえるかもしれません。例えば、弊社では66歳の方が新人として入社することもあるのですが、教育・訓練の機会を常につくり、きちんと訓練をするとしっかりした技術が身につきます。これにより、年齢にかかわりなく活躍できる環境ができていると思います。 また、弊社においても長く働いている従業員株式会社ササキ・佐々木啓二代表取締役(左)、株式会社アールビーサポート・服部量治管理者兼事業部長(右上)、イオン九州株式会社・工藤洋子経営監査室長(右下)

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