エルダー2022年1月号
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2022.134ために、もっとも必要とされる能力というのは、変化に対応する力だと思います。技術が進歩する、使う道具が変わる、まさに変化です。その変化に、いかにうまく対応していくか。それは、学び続けること。自分自身がどういう役割を企業のなかで果たしていくことができるのか、常に問いながら、自分から積極的に取り組んでいく。そういったことが、70歳現役・生涯現役を目ざすうえで必要なのだろうと思います。なもの、結婚したらそのときに必要なもの、子どもが生まれたら子育てに必要なもの、と社員自身の人生が、そのままお客さまのライフスタイルと合致しています。ですから、高齢の従業員が多数いることは、市場が高齢化していくなかで、企業にとって大きなプラスになると思っています。「高齢だからできることがかぎられるのではないか」という発想ではなく、高齢化が進む日本市場をとらえる戦力になる、そうとらえることが重要ではないかと思います。藤村 ありがとうございます。みなさんのお話を聞いて、年齢は一つの指標であって、すべてではないということ、企業が必要とする能力をもっていて、本人がなお新しいことを学ぼうとする意欲があり、働き続けたいと前向きに取り組んでいるのなら、何歳まででも働いてもらってかまわない、そういう姿勢や社風で取り組んでこられたのだなと感じました。 工藤さんがお話しされたように、いきなり老いるわけではないですし、いま20代の人もいずれ60代になる。そうなったとき、先輩たちのように第一線で働き続けていくためには、自覚が必要であると同時に、企業の側もいろいろな機会を用意して、学び続けてもらう環境をつくることが必要なのだと思います。 高齢期になっても、第一線で働き続けていくか、「イオン九州株式会社」は規模の大きな会社ですが、70歳、あるいはその先も働ける制度を整備しています。工藤さん、これから仕組みをつくろうと考えている企業にアドバイスをお願いします。工藤 だれもが突然老いるわけでも、65歳になった瞬間に能力がダウンするわけでもなく、老化はだんだん進むものです。先行して取り組んだ企業として、今後この取組みを進めていく企業さまにお願いしたいのは、働くことを希望する高齢者の選択肢の幅を増やすこと。それから、いろいろな働き方ができるということを周知することです。とはいえ、長くだらだらと働けるということではなく、いくつになっても、いつでも勉強ができる環境を整えることが、制度導入と並んで必要なことかと思います。 弊社の環境を例にあげると、レジもどんどん進化し、私などもそのたびにつらいのですが、何回も学び、新しい機種についていける環境をつくっています。いくつになっても勉強するということが、会社の風土として必要なのかなと思います。 また、小売業において、高齢の方たちにがんばっていただくための何かヒントがあるとすれば、小売業というのはある意味人生の縮図ですので、18歳で入社したら、18歳の人たちが必要コーディネーターを務めた藤村博之教授

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