エルダー2022年1月号
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エルダー41看護師として同じ施設で働く高橋尚美さん(43歳)は、「この施設には臨終を迎える利用者が多い一方で、そうした経験が少ない病院勤務出身の看護師が多く、久野さんが人の人生や生活に寄り添うようにサポートする姿に感銘を受けました。利用者の最期の経過で『こういう場合はどうしたらよいのだろう』と迷う状況に対応し、経験しないとわからないことを教えてくれる頼りになる存在です」と話してくれました。また、利用者の家族と何を話してよいかわからず困っている若い看護士への、久野さんのアドバイスにも助けられているとのこと。久野さんは、ボランティアで30年以上ガールスカウトの活動を続けています。そうした活動もあってコミュニケーション力に長け、よく冗談をいって場を和ませてくれるムードメーカーでもあるそうです。管理職でも時短勤務で働き、業績に貢献廣ひろ瀬せ京子さん(65歳)は勤続24年目で、「サンビレッジ宮みや路じ」の施設長として運営管理を行っています。営業職から同施設に転職して介護職につきました。「介護は人の長い人生の最後の年月にかかわれることが醍醐味」と語り、最期によかったと思ってもらえるように努めてきたと話します。担当している新人の接遇研修については、「介護を受けていただかないと仕事をさせてもらえませんから、まずは受け入れてもらわないといけません。常に笑顔でいることを伝えています」廣瀬さんは61歳まで常勤で働いていましたが、孫の面倒や親の介護といった家庭の事情があり、8時30分から16時までの短時間勤務に変更しました。初めは管理職が非常勤、しかも短時間勤務でスタッフより先に帰ることに抵抗を感じていたそうですが、上長から「会社とそのように契約しているのだから、堂々と帰ればいい」と諭されて吹っ切れたそうです。「廣瀬さんが施設長を務める施設は稼働率トップです。非常勤、時短勤務でも、業績向上という期待と役割に結果で応えてくれています」(太田名誉常務理事)廣瀬さんと同じ施設のチーフとして働く若原紀のり子こさん(43歳)に聞くと、「いつも笑顔で、相談したいことがあればいつでも相談に乗ってくれます。ダメなことははっきり指摘してくれるところもあり、こちらも話しやすいので、利用者の最善がどこにあるかというところでお互い譲らず、意見を闘わせることもあります」と素敵な笑顔で話してくれました。廣瀬さんに今後の抱負について聞くと、「これまで学ばせてもらったことや、介護の魅力、サンビレッジの考え方を、若い世代に伝えていこうといま取り組んでいて、今後も続けていきたいです。庭いじりが好きなので、いつか庭の剪定の仕事にもたずさわれたらとも思っています」同法人の事務局をとりまとめている加か野の有規枝事務長は、「24時間ご利用者を支えているので、常にスタッフが必要で、短時間勤務でも職員が支え合っていくことが大切です。出産や育児のため短い時間でしか働けない職員がいる一方で、その時間に勤務できる高齢職員がおり、施設全体の業務が回っています。育児で短時間勤務だった職員は子どもが大きくなったころに働ける時間を増やし、仕事ができなくなった高齢職員の代わりをになっていく。このように回っていくイメージです」と話します。新生会では勤務体制のサイクルが世代間で非常にうまく機能していることが伝わってきました。 (取材・西村玲)介護士の若原紀子さん(左)と打ち合わせをする廣瀬京子さん

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