エルダー2022年1月号
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はじめに12021(令和3)年4月から改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。企業は、70歳まで働いてもらえるよう努力をしなければいけないこととなったのです。実際に何歳まで働くかは個人がそれぞれ決めることですが、﹁70歳まで働く」となると、55歳定年時代に比べ、引退年齢が15年高くなったことになります。この間、高学歴化などによって、社会に出る時期も少し遅くなっていますが、それを差し引いたとしても、職業人生は、当時からは考えられないくらい長くなりました。現段階では、70歳までの就業機会の確保については、様子見の企業が多いようです。﹃労政時報﹄編集部が同誌の定期購読者向けサイト登録者から抽出した人事労務担当の部課長クラスを対象に、2021年5月末から6月にかけて行った調査によると、70歳までの就業機会の確保については、﹁制度として導入・実施」が10・7%、﹁試験的に導入・実施」が4・3%、1~2年以内に導入実施予定が10・0%であるのに対し、検討中・情報収集中が60・0%となっています。その一方で、人事関連の最重要課題として﹁シニア社員の処遇」をあげる企業は多く、さらに、人事労務担当の部課長クラスが個人的に興味・関心をもっていることがらとしては、54・3%の者が﹁70歳までの就業機会の確保」をあげています。これは、このところ注目が集まっている﹁ジョブ型の人事制度」(56・4%)に次いで多い数字です(﹃労政時報﹄4018号(2021年7月23日))。関心は大いにあるけれども、取り組むのはこれから、といった様子が読み取れます。高齢者雇用に関しては、さらに、2021年1月からは、一定の要件を満たす、複数の事業事業創造大学院大学教授浅野 浩美 健康寿命の延伸や、高年齢者雇用安定法の改正による70歳就業の努力義務化などにより、就業期間の長期化が進んでいます。そのなかで、シニアの活躍をうながしていくためにも「キャリア理論」への理解を深めることは欠かせません。本企画ではキャリア理論について学びながら、生涯現役時代における〝シニアのキャリア理論〞について浅野浩美教授に解説していただきます(編集部)。シニアのキャリアを理解するシニアの働く現状は?第1回新連載

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