エルダー2022年1月号
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株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2022.152今回はワークシェアリングについて取り上げます。ワークシェアリングとは文字通り、ワーク(仕事)をシェア(分かち合う)という意味です。この用語は20年前に広まりましたが、最近はあまり耳にすることがありません。あえてこの用語を使う必要がないくらい定着したともいえます。考え方自体は現在も継続して残っていますので、本稿の連載名の通り〝いまさら〞ですが、解説していきたいと思います。ワークシェアリングにはさまざまな目的があったワークシェアリングの具体的な定義・目的については、2001(平成13)年に厚生労働省が発表した「ワークシェアリングに関する調査研究報告書」に記載されています。ここでは、「ワークシェアリングとは、雇用機会、労働時間、賃金という三つの要素の組み合わせを変化させることを通じて、一定の雇用量を、より多くの労働者の間で分かち合うこと」と定義づけられています。目的については、①雇用維持型(緊急避難型)、②雇用維持型(中高年対策型)、③雇用創出型、④多様就業対応型の四つに類型化しています。この四つは密接に関連しつつも、実現までの時間軸という観点から二つに大別できます。短期的な課題への対応まずは、①②の雇用維持型ですが、これらは短期的な課題への対応が主となっています。図を見ていただきたいのですが、先の報告書が提示された2001年は、いわゆるバブル経済崩壊後の経済状況の悪化を受けて、有効求人倍率(求職者に対する求人数の割合)が0・59倍、完全失業率(15歳以上の働く意思をもった労働「ワークシェアリング」第20回0123194820年200095908580757065605552510154560.00.61.00.80.40.21.42.0(%)(倍)1.61.81.2完全失業率有効求人倍率出典:「早わかり グラフでみる長期労働統計」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)図  完全失業率、有効求人倍率 1948年~2020年 年平均完全失業率有効求人倍率

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