エルダー2022年1月号
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2022.156※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します渡邉正樹 著/大修館書店/2420円守もり島しま基もと博ひろ 著/日本経済新聞出版/1980円健康教育ナビゲーター三訂版全員戦力化戦略人材不足と組織力開発情報技術の進展や環境への対応、働く人の価値観の多様化、さらに、コロナ禍となり、企業はさまざまな変化への対応を迫られている。そのなかで日本企業が直面している人材不足は、単に労働力人口の減少のみが要因ではなく、企業の経営環境やそれに対応した経営戦略が変化し、また、冒頭にあげたような変化が関係していると本書の著者は語る。こうした変化は、求められる人材や価値ある人材像を変え、人材マネジメントの方法にも変化が求められるが、現在の人材マネジメントがそこに追いついていないことが人材不足の大きな要因だという。本書は、この解決に向けて、組織が人材を確保し、全員に戦力として活躍してもらうための人材戦略と、そこに向けて、人材が活躍できる舞台を用意する「組織力の開発」を説いている。組織は、それ自体が特有の能力を持ち、例えば、ダイバーシティの活用、働きがいと働きやすさを提供するなどの力を発揮する。これらを含む現在日本の企業が注目するテーマを多角的にとらえながら、組織力の開発を説くと同時に、働く人に求める「仕事自立」の考え方も示す。組織づくりに取り組む企業の経営者やリーダー、人事担当者らにおすすめしたい一冊である。従業員の高齢化や深刻な人手不足などを背景に、従業員の健康を重要な経営資源ととらえ、健康管理や健康増進に力を入れる「健康経営」に取り組む企業が増えている。本書は、健康に関する多様な用語をわかりやすく解説した用語集で、初版(2002〈平成14〉年)、新版(2008年)に続く第3版。13年ぶりに改訂された本書には、社会動向などをふまえて、「新型コロナウイルス感染症」、WHOが疾病として認定した「ゲーム障害」、先端医療の「ゲノム医療」、加齢による虚弱を表す「フレイル」などの最新用語を含む、70以上の用語を取り上げ、わかりやすく解説している。健康教育を実践するうえで知っておきたい理念や情報が満載で、学校や地域、職場での健康教育に役立つ。また、生活習慣病やストレス、感染症、ライフステージに沿った健康問題など、職場で話題になる情報も多く、企業で健康経営などにたずさわる担当者の手引きにもなる。健康に関する映画を紹介するコラムも充実しており、本書では、統合失調症に関連して「路上のソリスト」、感染症に関連して「コンテイジョン」、LGBTQに関連して「リリーのすべて」といった作品を新たに追加し、紹介している。健康に関する最新用語などをわかりやすく解説した「読む」用語集組織自体の能力を高めるために、必要なアプローチを提示

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