エルダー2022年1月号
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エルダー592022.1 January ニュース ファイル 「生涯現役社会の実現に向けたワークショップ」を開催当機構から当機構では、「高年齢者就業支援月間」の10月に、各都道府県の支部が中心となって「地域ワークショップ」を開催した(一部は11月以降に開催)。地域ワークショップは、生涯現役社会の実現に向け70歳までの就業機会の確保への理解を深めることを目的とし、高齢者雇用に関する学識経験者などによる基調講演、高齢者雇用に先進的な企業の事例発表などで構成される。今回は10月22日(金)に当機構千葉支部が主催した地域ワークショップ「70歳就業機会確保の進め方〜改正高齢法にどう取り組むか〜」の模様をレポートする。開会のあいさつに続き、2021(令和3)年4月に施行され、70歳までの就業確保措置を講じることが努力義務となった改正高年齢者雇用安定法について、千葉労働局職業安定部職業対策課高齢者対策担当官の鹿野和幸氏が法改正の概略と留意するポイントについて解説した。続いて、事業創造大学院大学事業創造研究科の浅野浩美教授による基調講演が行われた。「70歳就業時代の高齢社員活用戦略とは」をテーマに、高齢者雇用を取り巻く雇用環境の現状を整理し、統計データから高齢者の就業意欲と、体力・スキルは充分にあることを示唆したうえで、主に60代後半に対する企業の雇用確保措置に関する意識調査の結果をもとに、活用している企業は意欲と能力があれば年齢は関係ないと答えていることなどを紹介した。その後、全国における高齢者雇用の活用企業の事例として多数の取組みを紹介。最後に、世界最高年齢の総務部員としてギネス認定された90歳女性の例を取り上げ、「パソコンのスキルを65歳を超えて習得し、いまもそのスキルを活かして仕事を続けている。高齢者だから新しいことができないことはない。企業がどう高齢社員の能力やモチベーションの維持・向上を図るか、どう健康・安全に働いてもらうか、どう多様なニーズに応えるかについて、活用事例を参考にしてほしい」と話し、基調講演を締めくくった。休憩をはさんで行われたパネルディスカッションは、「高齢者が働きやすい職場づくりについて」というテーマのもと、パネリストとして金属機械加工業の株式会社岩井工機の岩井允まこと代表取締役社長、ピアノ・管楽器の査定・買取、修繕、販売事業の伸和ピアノ株式会社の谷たに治じ勇いさむ代表取締役、千葉労働局職業安定部職業対策課の常つね住すみ房夫課長、65歳超雇用推進プランナーの岩野邦久氏、コーディネーターとして浅野浩美教授が登壇した。初めに二社の概要と高齢者雇用制度について紹介が行われた後、「高齢従業員の意欲・能力の維持・向上について」の質問がパネリストに投げかけられた。工夫したこととして岩井氏は「無理のない勤務時間」をあげ、谷治氏は「特別支援学校のインターン生や新入社員の指導役に任命したことなど自社の取組み」を披露した。岩野プランナーは「ともに働く人たちとコミュニケーションをとって問題の解決を図り、安全・健康については、診断結果を活用し、健康管理に務めてほしい」と高齢従業員に向けたコメントを述べた。次に「作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生について」の質問が投げかけられ、岩井氏は、LED照明の導入と5S活動の推進など、谷治氏は机・椅子といった使用ツールの見直し、クレーンなど搬送ツールの活用などをあげた。常住氏からは「高齢従業員が指導した者が活躍することにより、企業の生産性の向上につながっている。指導した高齢従業員当人に成果を伝えることが大事になる」と述べ、パネルディスカッションを締めくくった。会場では、基調講演の内容や高年齢者活躍企業コンテスト受賞企業として注目されている企業による報告に耳を傾け、熱心に資料を確認する参加者の姿が目立った。70歳までの就業確保の努力義務化にどう取り組むかについてヒントを求める参加者の熱気が冷めやらぬなか、3時間にわたる地域ワークショップは幕を閉じた。千葉県での「地域ワークショップ」の様子

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