エルダー2022年1月号
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特集シニアのキャリア・チェンジエルダー7生涯現役時代に求められるのは自律的なキャリア・デザイン―将来的な労働力人口の減少を背景に、生涯現役時代、エイジレス時代といわれるなか、シニアのキャリアの位置づけが変化しています。現在のシニアのキャリアそのものについて、どのように考えていますか。高平 60歳定年以降のシニア社員のキャリアは、公的年金受給までの追加的な就業期間として、ある意味福祉雇用的に同じ会社で職業寿命の余生を過ごすような状態だったと思います。これからは、健康寿命も延び、個人のライフステージによってキャリアのありようが大きく変わります。個人の置かれた境遇や個人の価値観によって多様化が進み、個人差も広がると思います。昭和の時代のような画一的なサラリーマン像ではなくなって、いろいろな形に広がっていくだろうと思います。再雇用のシニア社員のキャリアは、会社の人事管理のなかで決まってきました。しかしながら、これからは働く個人が自らの意思で自律的なキャリア観をもって晩年の職業人生をデザインすることが求められてきます。自分の人生そのものをデザインするようなキャリアオーナーシップをもたず会社依存体質のままでは、長きにわたる職業人生をまっとうするのが困難になってくるでしょう。世の中の変化への対応力強化のためにもキャリア・チェンジは不可避な時代だと思います。―職業人生の長期化や社会環境の大きな変化に直面するシニア社員は、自律的なキャリア・デザインを求められ、主体的なキャリア・チェンジを迫られているということですね。では、キャリア・チェンジがなぜ必要なのか、その意義はなんでしょうか。高平 これからの時代、職業寿命を延ばすためには、おのずとキャリア・チェンジは避けられないのではないでしょうか。加齢とともに心身の変化を受け入れながら働き続けるためには、働き方そのものも段階をふみながら変えていかなければなりません。また、働き方を変えることで続けられない職種や仕事がありますので、そこで何らかのチェンジが必要になります。働き方の調整と仕事内容がうまくリンクすればよいのですが、そう都合のよい形にならない場合には、仕事内容か働き方の条件のどちらかを選択しながら、晩年のキャリア形成につなげ生涯現役時代のキャリア・チェンジ一般社団法人シニアセカンドキャリア推進協会 理事長 高平ゆかり氏 高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となる一方で、それまで勤めた会社を離れて、新しい仕事にチャレンジするシニアは少なくありません。今回は、シニアのセカンドキャリアにくわしい高平ゆかり氏に、生涯現役時代に求められるシニアのキャリア・チェンジの意義などとともに、シニア人材を送り出す・受け入れる企業に求められる取組みなどについて、お話をうかがいました。

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