エルダー2022年4月号
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2022.48③定年制の廃止といった雇用による措置に加えて、④70歳まで継続的に業務委託契約を 締結する制度の導入⑤70歳まで継続的に社会貢献事業に 従事できる制度の導入といった雇用によらない措置が新設されました。④、⑤の措置を合わせて「創業支援等措置」といいます(詳細な内容は4へ)。なお、②の継続雇用制度の導入については、65歳以上の高齢者が対象の場合、自社または特殊関係事業主(いわゆるグループ会社)に加えて、特殊関係事業主以外の他社での継続雇用も可能です。特殊関係事業主またはそれ以外の他社で継続雇用制度を導入する場合は、自社と特殊関係事業主等との間で、特殊関係事業主等が高齢者を継続して雇用することを約する契約を締結する必要があります。また、契約は書面により締結することが望ましいです。就業確保措置を講ずるにあたっての留意点等3この改正高年齢者雇用安定法の具体的な手続きや留意点等については、指針など※5‌※6で定められています。その概要や考え方については下記の通りとなっています。(1)対象者基準について70歳までの就業確保措置については、努力義務ですので、措置の対象となる高齢者について、基準を設けて限定することが可能となっています(①70歳までの定年の引上げ、③定年制の廃止を除く)。ただし、基準の策定にあたっては、次の事項に留意する必要があります。・対象者基準の内容は、原則として労使に委ねられるものですが、事業主と過半数労働組合等※7との間で十分に協議したうえで、過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいこと。・労使間での十分な協議のうえで設けられた基準であっても、事業主が恣し意い的てきに一部の高齢者を排除しようとするなど、法の趣旨や、ほかの労働関係法令・公序良俗に反するものは認められないこと。また、基準は具体的・客観的であることが望ましいこと。(2)労使で協議すべき事項就業確保措置の五つの措置(2の①~⑤)のうち、いずれの措置を講ずるかについては、労使間で十分に協議を行い、高齢者のニーズに応じた措置を講じていただくことが望ましいです。なお、五つの措置のうちいずれか一つの措置により70歳までの就業機会を確保するほか、複数の措置により70歳までの就業機会を確保することも可能となっています。この場合、個々の高齢者にいずれの措置を適用するかについては、その高齢者の希望を聴取し、これを十分に尊重して決定する必要があります。(3)安全衛生について高齢者が従前と異なる業務等に従事する場合には、新しく従事する業務等に関して研修、教育、訓練等を行うことが望ましいです。特に雇用による措置の対象となる高齢者が従前と異なる業務等に従事する場合には、安全または衛生のための教育は必ず行わなければなりません(創業支援等措置を講ずる場合にも、安全または衛生のための教育を行うことが望ましいです)。また、高齢者が安全に働ける環境づくりのため、就業確保措置により働く高齢者について、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)を参考に、職場環境の改善や健康や体力の状況把握とそれに応じた対応など、就業上の災害防止対策に積極的に取り組むことが望ましいです。(4)その他について継続雇用制度、創業支援等措置を実施する場合に、・心身の故障のため業務に耐えられないと認め※3 厚生労働省政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室「簡易生命表」、「人口動態統計」、厚生労働省政策統括官付参事官付世帯統計室「国民生活基礎調査」、総務省統計局「人口推計」より算出※4 内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査」※5 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第180号)

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