エルダー2022年4月号
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エルダー11特集高年齢者雇用安定法改正から1年をふり返る専門性の高い職種では業務委託による就業継続を模索当機構の65歳超雇用推進プランナー︵以下、「プランナー」︶の活動を通して、年間70社ほどの経営者の方や人事・総務の責任者の方とお話をします。業種、企業規模はさまざまです。高年齢者雇用安定法︵以下、「高齢法」︶の改正による70歳までの就業確保措置については、ほとんどの方が認識されているという状況です。ただ、受けとめ方には違いがあります。高齢者や45歳以上の社員が多い企業では自らの問題としてとらえており、大企業を中心として、継続雇用制度を70歳までに延長したり、70歳就業に向けて検討を始めたりといった事例が出てきています。また、改正高齢法で初めて打ち出された創業支援等措置については、特に専門性の高い職種において、業務委託に関する関心が高まっているようです。70歳までの継続雇用制度と業務委託制度の二つの制度を導入し、選択制にすることを検討している企業もあります。中小企業のなかには、65歳までの再雇用が終了したベテラン社員について、個別契約により65歳を超えても雇用している企業が少なくありません。ただ、個別契約だけで制度化されていないと、社員としては「自分も65歳を超えて雇用してもらえるのだろうか」と不安になるものです。そこで、実態に即して65歳超の継続雇用を制度化し、就業規則に明記したほうがよいこと、また、明記する内容などについて助言しています。これらを行うことで、社員のモチベーションが変わってきます。知識・スキル・ノウハウのある即戦力となる人材を確保できる企業からよく聞かれることの一つに、「高齢者より若手の採用が重要」という声があります。若手を採用したい気持ちはわかりますが、社会全体の問題として人手不足が深刻化しているなか、高齢者雇用に取り組むことにより、知識・スキル・ノウハウのある即戦力となる人材を確保することができます。全体の戦力を落とさずにすむうえ、ベテランには信頼感や安心感があり、プレイヤーをはじめ、後進の指導、管理職のサポート役などいろいろな役割に対応してもらうことができます。とはいえ、特に65歳以上になると、個人差はあるものの体力などの低下が顕著になり、とっさの身のこなしがむずかしくなるといったことから、業務によっては安全面や健康管理上の課題が大きくなります。これには、例えば、一日中立ち仕事をするのがむずかしいということであるなら、ワークシェアリングで半日勤務や3時間勤務、週3日勤務などの短時間や短日勤務で柔軟に対応したり、ドライバー職であれば長距離から近距離の担当に変わるなど、職種によっていくつかの対応事例があります。これらについても、私たち★ 65歳超雇用推進プランナーについては、下記のホームページでご紹介しています長く働ける環境を整え〝人が集まる会社〞へ当機構東京支部 65歳超雇用推進プランナー 渡辺栄たか英ひで65歳超雇用推進プランナーに聞く❶アドバイザー・プランナー歴:2年。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタントの経験を活かし、企業への助言活動を行っている。65歳超雇用推進プランナー検索

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