エルダー2022年4月号
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2022.422そして、社員の高齢化に向けた安全な職場づくりも気になるところだ。「65歳以降も同じ仕事を続けるということになりますから、体力や身体機能の低下による健康問題や、安全対策も課題です。いまは健康診断の結果を注視し、健康管理に努めるよううながしています」(銭田課長)と、会社として健康と安全に留意していると説明する。サステナビリティの取組みで高齢社員も働きやすい職場にここで同社が行っている、高齢社員をはじめとする社員のための働きやすい職場環境づくりについて紹介する。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)活動を推進する同社は、高齢者や女性、障害者といった多様性のある社員一人ひとりの個性や属性の違いを尊重し、相互に緊密なコミュニケーションのもとその多様性を受け入れ、活かすことができる組織風土を醸成している。ならびに、製造部門ではQC(クオリティ・コントロール、品質管理)のために、工場で働く社員が各部門においてチームをつくり、社員自身で生産効率を考えるという活動を盛んに行ってきた。女性活用の観点で実施してきた働きやすい職場づくりが、高齢社員の働きやすさにもつながっているという。製造統括本部の加工二課に配属された女性社員4人が、パート社員や高齢社員がいつ就業しても、すぐ作業できるような環境づくりと、体力面の負担を減らすための取組みを行った。曲げた部材を低い位置から持ち上げる作業は腰に負担がかかり、また作業台への移動も体力を必要としていることに着眼し、解決策として作業台を加工して部材をスライドさせて移動する方法を取り入れた。そのほか、重い工具をだれでも持ちやすい軽量のものに変更するなど、同課の取組み同様に、それぞれの課で意見を出し合って環境整備が実施されている。社員に対するサステナビリティの取組みの一つとして、2021年7月に、小松本社の工場内に大型シーリングファン2基を導入した。夏場の工場内作業における環境改善を図るための取組みだ。大型シーリングファンは、少ない力で広範囲に大きな風を発生させることができ、夏場は作業中の体感温度を下げ、熱中症のリスクを低減させるだけでなく、冬場の暖房対策にも効果があるなど、地球環境への配慮も同時に実現が可能になるという。現在は、他エリアの工場への導入を進めている。バランスのとれた年齢構成が職場を活性化させる最後に高齢者雇用について銭田課長は次のように語った。「能力は60歳、65歳でなくなるわけではありません。それまでつちかってきた経験はとても大事なものだと思います。それを活かせる場を会社が提供することで、65歳以降も自身が満足できる人生を送れることになると思います。社員一人ひとりをサポートできる会社になれたらと思います」。続けて小坂部長は、「ベテランの方と一緒に働いていると、学ぶことが本当に多いものです。高齢社員の方々の当社で働き続けたいという思いと、私たちも彼らと働きたいという思いがあって各課のチームが成り立っています。若年層から高年齢層まで年代的なバランスもちょうどよい状況です。これからは社員一人ひとりが働き方を選択していけるような環境を整えていきたいです」と展望を語った。同社は多様な人材が一緒に働くなかで、さまざまな価値観や考え方、発想からイノベーション(革新)が生まれることをねらっている。これからも社員が活き活きと働く職場づくりを目ざし、安心・安全で、快適な職場整備と職場風土の改革に取り組んでいく。

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