エルダー2022年4月号
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2022.424満65歳から満70歳到達月の月末まで延長するとともに、満65歳を迎えたシニア行員をアシストスタッフとして満70歳まで再々雇用する。シニア行員は月給制だが再々雇用では時給制となる。働き方は、週5日、1日7時間のフルタイムまたは勤務日時・時間を希望に応じて調整するショートタイムで、いずれも自由に選択することができる。「非常に柔軟な制度を用意しましたが、意欲的に働きたいという人が多く、フルタイムの割合が高いですね。ショートタイムを選ぶ人は、介護やご自身の体調などの事情に合わせて選択しています」(生野さん)制度化の前から、シニア行員のなかから、会社が引き続き残ってほしい人については、運用でパートタイマーとして継続雇用していたが、今回、正式な制度として確立された。現在、約1000人いるパートタイマーについては、2013年の労働契約法改正に対応して、同法に基づき無期雇用となる無期雇用転換制度を導入。あわせて、このときに雇用上限年齢を65歳に定めていた。元からパートタイマーだったアシストスタッフと、シニア行員からの再々雇用者との処遇の違いは基本的にはないが、再々雇用者の場合は業務を承認する検印権限を付与されるケースがあり、その権限に対して時給が上乗せされる。この権限給相当分は時給に換算すると約200円で、一日7時間、月20日働くとすると、3万円程度。年間では30万円強の上乗せとなる。また、アシストスタッフにも評価の仕組みが設けられており、評価は奨励金(一時金)に反映されるが、その幅は5000円~1万円と大きなものではない。厳密な評価制度というよりも、面談によるコミュニケーション促進やモチベーション醸成がねらいだ。現役時代からの年収の変化は、「55歳到達時の資格により異なりますが、給与の平均値として役職定年55歳の直前を100とすると、役職定年で7割程度となり、60歳定年後のシニア行員になって、6割程度になります。さらに、再々雇用でシニア行員の6~7割になるイメージですが、再々雇用の期間は厚生年金と基礎年金に加えて企業年金を受給する想定で老後の生活費に対して、十分な収入を確保できると思います」(生野さん)としている。ダイバーシティ経営の柱の一つとしての取組み法律の努力義務化の段階で、先取りして制度設計を行ってきたことについて、生野さんは「国の政策に対して、前向きに取り組んでいくということと、従業員に極力配慮した人事制度を構築したいという考え方が基本的な社風になっていると思います。当行にはダイバーシティのような社会の新しい動きに柔軟に対応していく社風があります。ダイバーシティ経営に積極的に取り組むなかで、高齢者の活用と女性の活躍が二つの大きな柱になっています」と説明する。年齢構成の比重と今後の制度整備の必要性60歳定年を迎える前に、定年後の仕事の希望・ニーズについて、聞き取り調査を行っている。ほとんどの人が、いままでやってきた慣れている分野の仕事を希望するという。人事部人事課 生野哲也さん

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