エルダー2022年4月号
28/68

2022.426が同行のシニア人材のなかにいた場合、コンサルティング事業の一環としてその人材を紹介し出向させ、双方の希望が合致した場合、出向勤務を経て、同社に転籍を行う。転籍した後は、同社の社員として同社の経営の中枢をになうこととなる。また取引先の人材ニーズに合わせて、人材紹介業者などと連携して、人材紹介を行うコンサルティング業務にも力を入れている。ミドル・シニア層に求められる役割この先10~15年で、ミドル・シニアの全体に占める割合が大きく伸びるとすれば、高齢従業員の仕事の内容や配置について、従来と同じ考え方では、効果的に業務を運営することがむずかしくなることも考えられる。生野さんは、「シニアの占める割合が高くなれば、従来とは違った対応が必要になるでしょう。いままでは、希望した仕事を、そのまま続けてもらうことができたかもしれませんが、これからは、仕事の幅を広げて、大きく異動するような環境を整えなければならなくなると考えています。シニアの職務開発が課題です。稼いでくる営業業務は現役がメインの仕事で、それらのサポートと後輩指導の役割をミドル・シニアがになえればベストだと思います」という。雇用上限年齢を70歳に引き上げたことは、従来の人事制度の枠組みにも大きな影響を与えている。55歳の役職定年から、後ろが大きく伸び、段階的に処遇が下がっていくなか、モチベーションを維持したまま、働き続けられる仕組みづくりが重要だと考えている。企業にとって、高齢従業員が長く働くことのメリットについては、「高齢従業員の長い職務経験から得られたノウハウを活かすことができ、それが若手に伝わっていくというのが大きなメリットです。銀行業務はゼネラリスト的なスキルなので、かえってその知識や経験は色あせずに、戦力として次の若手につないでいけます。長く働けることで、自社に対する愛着が増すでしょうし、働くモチベーションにもなる。65歳以降も働ける環境を整えることで、働く人の満足度、エンゲージメントの向上にもつながります」(生野さん)と強調する。提供:百五銀行図表 高年齢者雇用安定法と高齢者雇用制度の変遷年法律百五銀行の高齢者雇用制度1971年中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法制定1986年高年齢者雇用安定法に名称変更60歳以上定年の努力義務化1985年 定年を60歳に延長1990年希望者を対象に定年後の再雇用を努力義務に1992年シニア行員制度新設 フルタイム:63歳までショートタイム:65歳まで1998年60歳以上定年の義務化2000年65歳までの雇用確保を努力義務化2006年65歳までの雇用確保を義務化(対象者限定可能)2006年65歳までの継続雇用制度導入2013年希望者全員の65歳までの雇用を義務化2013年シニアライフ充実手当の導入賞与支給開始(業績評価の実施)2021年70歳までの就業確保の努力義務化2021年シニア行員再々雇用制度アシストスタッフ定年70歳

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る