エルダー2022年4月号
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エルダー27特集高年齢者雇用安定法改正から1年をふり返る最先端のITを活用しながら医療・介護・福祉の事業を展開社会医療法人財団董とう仙せん会かいは、「いつでも、誰でも、たやすく安心して診療を受けられる病院にする」の精神にのっとり、1934(昭和9)年に神野病院として創立した恵寿総合病院(石川県七尾市)を核として、能登地域を中心に介護老人保健施設やデイサービスセンター、小規模多機能型居宅介護事業所など多数の事業を展開する複合体グループである。質の高いサービスの提供を目ざして常に新しいことに挑戦しており、2000(平成12)年の公的介護保険導入時には全国初となる医療・介護コールセンターとして、「けいじゅサービスセンター」を開設した。2002年には電子カルテシステムを導入し、現在では同法人すべての施設の情報が最先端のITシステムで統合されている。このことにより、すべての患者、利用者のカルテが、一人一つのIDで情報共有可能となった。同法人で働いている職員数は医師70人、看護師400人をはじめ、1300人以上。能登地域の医療法人としては最大規模を誇る。すべての職員の定年制を廃止60歳以降、三つの選択肢を用意2021(令和3)年7月、人生100年時代を見すえた「人生100年プロジェクト」の一環として、すべての職員の定年制を廃止した。「人材確保といつまでも元気に働く体制をつくること」がねらいだが、定年制だけではなく、全職員を対象とする就業規則、退職金支給規程、給与規程の一体的改革として進めている。医師や看護師などの専門職には、もともと高年齢になっても仕事を続ける人が多いが、同法人ではさらに、職員が長く活躍できるように、以前からキャリアチェンジに力を入れてきた。例えば、管理栄養士がケアマネジャーになる、助産師が医療安全管理者になるというように、働きながら職種の幅を広げ、長い職業人生を自分に適した職種、働き方で存分に力を発揮できるように後押しをしている。また、60歳以上の職員の雇用にも以前から積極的に取り組んでいる。その結果、60歳以上の職員数が年々増えており、2019年には約140人であったが、2021年には約180人となった。そこで、年齢の制限なく、職員がキャリアを最大限活かすことができる仕組みづくりとして、定年制の廃止を実現したのである。定年制廃止の考えは、同法人の神かん野の正まさ博ひろ理事企業事例❸社会医療法人財団 董仙会(石川県七尾市)全職員の賃金体系などを見直し上限年齢なく正職員として働ける制度を導入

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