エルダー2022年4月号
31/68

特集高年齢者雇用安定法改正から1年をふり返るエルダー29の契約・フルタイム・パートタイム」に対しては「注意喚起のみ」だが、「セカンドステージ」と「60歳以降の嘱託・フルタイム・パートタイム」に対しては、①二次検診、特定保健指導等の完了を報告することが必要、②集中力等集団検査結果が年齢不相応の場合は個別検査を受けその結果を報告することを評価項目としている。雇用の上限年齢は定めていないが、60歳以降は1年ごとに人事評価の結果をふまえて上長と本人とで毎年面談を行う。そのなかで翌年の勤務内容を互いに納得のうえ、現状と同じにするか、セカンドステージから嘱託へ、あるいはパートタイムへと変更するか決定する。退職時は、60歳までの退職金にセカンドステージ功労金をプラス退職金は、60歳までのファーストステージ退職金に加え、セカンドステージ功労金が60歳以降の勤続年数に応じて付与される。つまり、セカンドステージの正職員として長く働くほど功労金が増えて、生涯賃金が増えるという仕組みだ。同法人では確定拠出年金制度を導入しているため、セカンドステージを選んだとしても、確定拠出年金(ファーストステージ退職金の6割程度)は60歳以降に受け取ることも可能であり、職員自ら運用することもできる。このため最近は、福利厚生の一つとして、これらの運用方法を学ぶ研修の機会を設けている。また、定年制廃止により多くの職員に長く勤務してもらうため、「生涯賃金を増やす」という観点から、すべての職員の賃金体系の見直しを進めている。すでに取り組んでいるのは、「初任給の引上げ」(2021年度は主に介護職を引き上げ)、「本給の見える化」、「各種手当の見直し」である。手当については、「労働の対価」という考え方をもとにして見直しを始めた。例えば、夜勤手当や資格手当、赴任手当は増額し、労働の対価ではない住宅手当や扶養手当は廃止する方向だ。進藤本部長は、「当法人の職場には女性職員が多く、お互いさまという思いを大切にしており、例えば、子どもがいない職員は、産休や育休を取っている職員の勤務をカバーしてくれています。しかし、その労働に対する手当はありません。こうしたことをふまえて、多様性の時代ですから、『労働の対価としての手当』という考え方に移行していきます」と各種手当を見直す理由を明かした。セカンドステージへの移行時に「リフレッシュ30日休暇」を付与セカンドステージを選んだ職員には、年次有給休暇とは別の特別休暇として「リフレッシュ30日休暇」(有給休暇)が付与される。「60歳を機に一度休みたい、という思いを持った職員が多いことから設けた制度です。セカンドステージへ移行する際、連続して30日の休暇を1年以内を目処に取れるようにしています」(進藤本部長)また、全職員を対象とした「フリープラン休暇」という制度もある。医療や介護、福祉職はまとまった休暇が取りにくいという状況から、年次有給休暇を5日間、土・日を含めると一週間の連続休暇が取れる制度である。健康経営とDXを推進して働き方改革を促進する職員が健康で長く働き続けることができる職場づくりに向けて、「健康経営」の取組みにも力を入れている。経済産業省が健康経営を実践している法人などを顕彰する制度の「ホワイト500」の認定を2018年に受けており、連続して認定を更新している。「ホワイト500」は、健康経営優良法人のうち、規模の大きい企業や医療法人を対象とした大規模法人部門の上位500法人が認定される。董仙会では例えば、看護、介護の現場におけ

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る