エルダー2022年4月号
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エルダー39ランスタッフもいるとのこと。今回は、そんな高齢スタッフの一人で、同僚からも尊敬されている70代後半の従業員の方にお話を聞きました。従業員が選ぶMVP従業員の第1位に伊藤政まさ捷かつさん(79歳)は、同社ホテルの施設管理をになう4人のスタッフのまとめ役で、主任を務めています。施設管理、駐車場管理、シフト管理、消防署などへの対応業務も行います。以前はフルタイム勤務で夜勤も担当していましたが、コロナ禍となり、従業員の健康に配慮して勤務を縮小し、現在は月20日程度、9〜13時の1日4時間勤務となっています。「始業してまず電気、ガス、水道のメーター確認や各種設備の点検をします。使用量や音などを確認することで、異常を発見する手がかりになります。この作業に1時間半はかかるので、4時間はあっという間です」と話す伊藤さん。伊藤さんは、プラトンホテル四日市の前ホテル時代からここで仕事をしており、現ホテルになると同時に嘱託従業員となり現在に至ります。設備関係の仕事に就いて約60年。そのうちホテルでの勤務が35年です。1級ボイラー技士、電気工事士など、必要な資格は仕事をしながら取得してきました。「法令を遵守し、毎日しっかり確認することが大事」と、日々の仕事のポイントを語ります。山中係長は、「伊藤さんは休んだことがほとんどありません。機器・機材のちょっとした修繕など何でも引き受けてくれるのでたいへん助かっていますし、パソコンも、エクセルを使ったり、従業員向けサイトに点検の情報を配信したりといった作業もこなしています。2018年に当社初の試みとして〝従業員が選ぶ『MVP』従業員〞を選出したのですが、こうした仕事ぶりが評価されて、伊藤さんが堂々の1位でした」と伊藤さんの活躍を話します。伊藤さんはMVP選出を謙虚に受けとめたようで多くは語らず、「この年齢まで働かせてもらっていることに感謝しています。任されたからには責任を持って、緊張感を持続し、これからも安全で快適なホテルを支えるためにしっかりと仕事をしたいと思います」と今後の抱負を語りました。カギはコミュニケーション「当社では、『大切な居場所になるホテル』を方針に掲げています。お客さまはもちろん、従業員にとっても大切な居場所となるよう、もっとライフスタイルに合わせた働き方ができる会社にしたいという思いはありますが、従業員数や、24時間営業のサービス業ということもあり、むずかしい面もあります。そこで現在は、上長と従業員が1対1で話をして、今後どうしていきたいのか、どのような働き方を希望するのかを親身になって一緒に考えることからはじめています」(山中係長)豊田プランナーは、「年齢ではなく、従業員一人ひとりとしっかりとコミュニケーションを取っていること、また、IT化でも見られたように、多世代間でもコミュニケーションを取っていることが、よりよい高齢者雇用につながっていると思います。コミュニケーションを取りながら、従業員それぞれの能力をうまく引き出し、そこからやる気が生み出されている、そんな印象も受けました」と同社の取組みを評価。従業員のライフスタイルに合わせた働き方ができる職場づくりを、今後も支えたいと話しました。 (取材・増山美智子)施設管理を担当する伊藤政捷さん

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