エルダー2022年4月号
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がって、労働基準監督署への届出は、会社と労働者の間で法的拘束力を発生させる要件とは考えられていません。労働基準監督署への届出を効力発生要件としてしまうと、10人未満の労働者しかいないような届出義務を負担していない事業場において、就業規則を有効に機能させることができなくなってしまいます。就業規則が法的な拘束力を持ったとき、労働者にはどのような影響があるのでしょうか。すべての労働条件が就業規則によって定められるとしてしまうと、労働者ごとに個別の労働条件を設定することができなくなってしまい、きわめて不便な状態になりかねません。したがって、就業規則が会社で効力を有するとしても、すべての労働条件がこれにおいて定めるわけではありませんが、就業規則に定める基準に達しない労働条件を定める労就業規則の効力について1就業規則の効力については、労働基準法および労働契約法に定められています。まず、社内における就業規則が効力を発生させる要件は、労働者の過半数代表者からの意見の聴取および就業規則の周知が必要とされています(労働基準法第90条、労働契約法第7条)。また、労働契約法第7条によれば、労働基準法が定める手続きを満たした就業規則であっても、その内容が合理的な内容でなければ、有効にはならないとされています。労働基準法第89条においては、労働基準監督署への届出も義務づけられていますが、これは労働基準法第120条が定める罰則の前提となっている義務にとどまります。した就業規則の適用範囲を適切に限定していない場合には、就業規則に基づく支払い義務を負うことになります。A合意した労働条件が、就業規則で定められた賃金の基準を下回っていたことが発覚しました定年後の再雇用者の労働条件について、正社員の賃金からは引き下げた内容で合意に至りました。ところが、再雇用後の賃金について、会社が定めた就業規則の内容よりも低くなっていることに気づいたとして、差額を請求されています。請求に応じなければならないのでしょうか。Q1第47回 再雇用と就業規則の最低基準効、業務委託の解除と解雇弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2022.444知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q

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