エルダー2022年4月号
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ると結論づけています。おそらく、この事件の使用者も給料に関する規定までも再雇用した労働者に適用することは想定していなかったでしょう。給料以外の服務規律であるとか一般的に共通する事項を適用し、給料については合意に基づいた内容を支給することを意図していたのでしょ用する場合でも、このときの手続きおよび労働者の意思決定時の説明などは、慎重に対応する必要があります。正社員の地位から業務委託契約へ切り替えるにあたっては、労働契約の合意解除と業務う。就業規則の最低基準効を正確に理解しておかなければ、意図せずに会社にとって不利益な労働条件が成立してしまうことがあります。同じようなことにならないような対応としては、再雇用後の労働者には就業規則の給料に関する規定が適用されない旨を明記しておく必要があります。委託契約の締結が行われることになります。このとき、労働契約の合意解除について、意思決定において勘違いや誤解がある場合(法的には「錯誤」という)には、労働契約の合意解除の効力が否定される可能性があります。勘違いしていなければ合意解除(業務委託への切り替え)には至っていなかったといえるほど重要な内容で、合意解除にあたって双方の合意が前提とされていた場合には、合意解除の効力が否定されることがあり得ます。労働契約から業務委託契約への切り替えにあたっては、例えば、税務上の観点からは給与所得から事業所得へ変更となることから、業務委託への切り替え後は自らの責任で確定申告を行う必要があります。また、社会保険および雇用保険等についても対象から外れ、労災時の補償も受けることができなくなります。さらに、労働者ではなくなることから、労働基準法による保護を受けることもなくなるため、有給休暇の制度などもなくなり、労働時間の上限規制などによる保護や会社にとっては割増賃金の支払義務もなくなります。このように、労働契約の解除については、労働者にとって不利益な要素も多く、変化も大きい内容となります。本人の希望に沿って契約を切り替えているため、誤解が生じる可能性は高くないかもしれませんが、契約切り替えにともない生じる変更点を正確に理解しないまま、業務委託契約への切り替えを進め業務委託契約への切り替えについて165歳定年以前に、正社員の希望に即して、1年契約の業務委託契約に変更する制度を採希望者を対象とした業務委託契約への切り替えにあたって、労働契約からの変更点を十分に理解したうえで判断させなければ、労働契約が継続し、解雇として扱われることがあります。また、業務委託契約への切り替え後の取扱いが労働契約と相違ないような状態であるときも、法的には労働契約と評価され、解雇として扱われることがあります。A正社員から業務委託に切り替わった場合の契約解除について知りたい当社は65歳定年制ですが、60歳以上の正社員のうち、希望者は正社員から業務委託契約に切り替えています。先日、ある社員が1年契約の業務委託契約を希望したため、同契約に切り替えました。しかし、その直後、業績が悪化し、契約を解除せざるを得なくなりました。対象者から実質的な解雇ではないかと主張されたのですが、違法な解雇となるのでしょうか。Q22022.446

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