エルダー2022年4月号
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エルダー3高柳 一般に、高齢者雇用がコスト負担増を招くといわれるのは、高齢者の職務内容や貢献よりも賃金が高い、という認識または実態があるからです。両者のバランスがとれていれば、会社は貢献に見合った報酬を支払っているだけのことで、コスト増にはならないはずです。 当社では、全社員が雇用期間の全体を通じて、貢献と報酬のバランスがとれるような処遇制度を導入してきました。プロ職では、G1〜G4のグレードがあり、最上位のG4からH職への認定やM職への任命が行われる仕組みですが、グレードは年功的に上がるわけではなく、実力評価に応じて上がることもあれば下がることもあります。65歳への定年延長では、60歳時点でG2であれば、G2の処遇のまま定年延長になります。60歳を超えたからといって、G2の実力がすぐに低下することはないからです。もちろん、その後の実力評価次第で、グレードのアップダウンはそれまでと同じように行われます。 実は、定年延長と同時期に、高齢者だけでなく全社員について、グレードがダウンする降格の運用基準を見直しました。それまでは2年連続で最低評価だった場合に降格を実施していたものを、単年度の評価で降格を行うよう、実力主義をさらに徹底させたのです。年齢にかかわらず、どの社員についても、これまで以上に貢献と報酬のバランスがとれる形となったので、定年延長にともなう雇用期間の延長、そして高齢社員の増加によって、人件費負担が過度になるという懸念はありませんでした。―そして65歳定年延長を行った翌年の2020年には、70歳までの再雇用制度を導入されました。新たな就業確保措置が盛り込まれた法改正への対応が理由でしょうか。高柳 検討を始めた当時、65歳超の就業を盛り込んだ法改正への動きがあり、意識していたのは事実です。しかし、当社にとってより また、これからの生涯現役時代、定年前に転職や独立をして、70歳、80歳まで働き続ける人が増えます。そこで、48〜62歳の社員を対象に、社外転身を応援する目的でセカンドキャリア支援制度を設け、転進支援金やキャリア支援サービスの提供、転身のための休暇付与などにより外部でのキャリア構築も選択可能としています。―再雇用を定年延長に切り換えることや、専任職を廃止することで、人件費が増えるという懸念はありませんでしたか。年齢を問わず貢献と報酬が均衡する処遇高齢者雇用がコスト増にならない実力主義

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