エルダー2022年4月号
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■■■■■■■■人事用語辞典いまさら聞けないエルダー51結果があります。『コーポレートガバナンスに関するアンケート調査結果(2018年版)』(経済産業省委託 PwCあらた有限責任監査法人調査)のなかに、次の質問と回答があります。%は最も多い回答比率をあげています。問14: 社長・CEOの再任についての決定を最も左右する主体とは回答:社長・CEO自身(39%)問29: 次期社長・CEOの選定に関し、候補者の選出から決定までのプロセスとは回答: 現社長・CEO等が単一の候補者を選定し、取締役会で審議・決定(22%)問30: サクセッションプランの有無とは回答:後継者の計画が存在しない(48%)問35: サクセッションプランを作成していない理由とは回答: 後継者については社長・CEO等の経営陣の意向が尊重されるため(56%)本調査のごく一部の要約となりますが、これらをみるだけでもサクセッションプランの実施については消極的な姿勢がうかがえます。経営者本人に後継者育成の課題感がないと、ほかの役員や人事部門からはとてもではないが提案しにくく、導入が進まないというのが実際のところのようです。サクセッションプランの取組みこのような状況に対し、経済産業省が2018年に改訂した『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針』によると、企業の持続的な成長と中期的な企業価値の向上には、経営トップを、もっとも優れた後継者にベストなタイミングで経営トップの交代が必要であり、現行の後継者の現社長・CEOによる属人的な選定は、現在の変化の激しい経営環境のなかでは適切な後継者指名が行われないリスクが高いとして、サクセッションプランの必要性について強く説いています。一方で、新たに後継者計画に取り組む企業にとって、最初からフルスペックで仕組みを構築することは困難として、七つのステップ(図表)を参考にできるところから一歩ずつ取り組んでいくように記載されています。また、サクセッションプランの導入における重要な取りかかりとなるのは、どのような後継者を育成していくのかという「あるべき社長・CEO像」の可視化ですが、本資料に社長・CEOに求められる資質・能力の一例が掲載されています。このほか各ステップの進め方や取組み例について具体的に記載されているため、サクセッションプランにこれから取り組もうという企業には参考になるかと思います。日本の企業でもグローバル化の進展にともない、日本人以外でも優秀な社員を経営陣に抜擢する動きも増えてきています。社内の内輪の理論だけで経営者を選出していては、環境変化やグローバル化へのかじ取りがますますむずかしくなっていくのは明白です。取組みを進めるために、まずは後継者を育成し、最適な人材を選抜していくことの重要性をいかに現在の経営者に醸成していくかがポイントになりそうです。☆  ☆次回は、「福利厚生」について取り上げます。ステップ主な内容1後継者計画のロードマップの立案2「あるべき社長・CEO像」と評価基準の策定3後継者候補の選出4育成計画の策定・実施5後継者候補の評価、絞込み・入替え6最終候補者に対する評価と後継者の指名7指名後のサポート出典:コーポレートガバナンスに関する実務指針(経済産業省)図表 後継者計画の策定・運用のステップ

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