エルダー2022年4月号
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エルダー7特集高年齢者雇用安定法改正から1年をふり返る改正の背景1わが国では少子高齢化が急速に進展しており、2065年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると見込まれています※1。一方で、高齢者像は変化してきており、身体機能の水準の向上が確認されています※2。また、2016(平成28)年においては、男性の健康寿命が72・14歳、女性が74・79歳に上り、いずれも健康寿命の延伸が見られます※3。さらに就業意欲も高く、収入をともなう就業希望年齢として、全体では約2割が「働けるうちはいつまでも」と回答しており、約4割が65歳を超えて就業することを希望しています※4。少子高齢化が急速に進行し、人口が減少するなかで、経済社会の活力を維持するためにも、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮し、活躍できる環境の整備を図っていくことが求められます。そこで、高齢者の活躍の場を整備するため、2020(令和2)年に、70歳までの就業機会を確保する措置(以下、「就業確保措置」)を講ずることを事業主の努力義務とする法改正が行われ、2021年4月に施行されました。改正高年齢者雇用安定法の概要2高年齢者雇用安定法においては、今般の改正法が施行される前から、事業主は定年を定める場合は60歳を下回ることができないとされており、そのうえで、65歳までの高齢者の雇用機会を確保するための措置(以下、「雇用確保措置」)として、①65歳までの定年の引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入、③定年制の廃止のいずれかの措置を講ずることが義務づけられています。なお、雇用確保措置の取組み状況については、2020年6月1日現在の高年齢者雇用状況の集計結果によると、31人以上の規模の企業のうち99・9%と、ほとんどの企業において雇用確保措置が実施されています。改正高年齢者雇用安定法では、この65歳までの雇用確保措置に加えて、65歳から70歳までの就業確保措置を講ずることが事業主の努力義務とされました。具体的な就業確保措置の内容としては、従来の雇用確保措置と同様の、①70歳までの定年の引上げ②70歳までの継続雇用制度の導入※1 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計):出生中位・死亡中位推計」※2 文部科学省「平成30年度体力・運動能力調査」改正高年齢者雇用安定法の概要と今後の対応総 論厚生労働省 職業安定局 高齢者雇用対策課

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