エルダー2022年5月号
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特集生涯現役時代の安心・安全な職場とは?エルダー9ドなど、作業管理におけるソフト面の対策(3)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握・健康診断や体力チェックにより、当該高齢労働者の健康や体力の状況を客観的に把握する(4)高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応・健康診断や体力チェックにより把握した個々の高齢労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務をマッチングするとともに、身体機能の維持向上に取り組む(体力の維持、生活習慣の改善を含む)(5)安全衛生教育・十分な教育を実施するとともに、経験のない業種や業務に従事する者には特にていねいな教育訓練を実施するまず、安心・安全な職場づくりを推進していくという経営トップによる意志表明が重要です。高齢労働者の労働災害防止対策を担当する組織づくりを行い、安全衛生部門、人事管理部門、産業保健スタッフ(いなければ地域産業保健センターなどの外部機関など)、が連携して対策を推進していきます。次に、労働災害の発生リスクについて、災害事例やヒヤリハット事例から危険源の洗い出しを行い、当該リスクの高さを考慮して高齢者労働災害防止対策の優先順位の検討を行います。リスクの洗い出しと職場環境の改善(ハード面・ソフト面)については、中央労働災害防止協会(以下、「中災防」)が作成した「エイジアクション100」の活用をおすすめします。「エイジアクション100」はその名の通り、高齢労働者の安全と健康確保のための100の取組みが記載されています。作業環境管理、作業管理、健康管理、エイジマネジメントの視点から、職場で取り組むべき項目をチェックし、対策ができていない項目については、優先度が高く対策可能な箇所から職場改善の取組みを行います。なお「エイジアクション100」については、無料でダウンロードすることができますので、ぜひチェックしてみてください。(https://www.jisha.or.jp/age-friendly/ageaction100.html)「エイジアクション100」を用いた取組み5「エイジアクション100」で取り上げられている労働災害の項目は「転倒防止」、「墜落・転落防止」、「腰痛予防」、「はさまれ・巻き込まれ防止」、「交通労働災害防止」、「熱中症予防」です。これらは高齢労働者の身体機能・認知機能の特徴を意識して選定されています。ただし、すべての業種において、すべてのチェック項目について対策がなされなければならないということではなく、業種ごとに最優先で取り組むべき事項について提案されています(図表1)。 出典:中央労働災害防止協会「エイジアクション100」図表1 主な業種別の最優先取組み事項転倒予防墜落・転落防止腰痛予防はさまれ・巻き込まれ防止交通労働災害防止熱中症予防①製造業○○○○②建設業○○○○③交通運輸業○○○④陸上貨物運送事業○○○○⑤小売業○○○⑥社会福祉施設○○⑦飲食店○⑧ビルメンテナンス○○⑨警備業○○○

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