エルダー2022年5月号
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2022.518るかをテストします。「⑤開眼片足立ち」も静的バランスのテストで、両目を開けた状態で④と同様に片足立ちをします。④と⑤は、平衡性を知るテストとなります。この五つのテスト結果から、レーダーチャートを作成します。「身体的特性」質問票(図表4)では九つの質問に対して「自信がない」、「あまり自信がない」、「人並み程度」、「少し自信がある」、「自信がある」などの5段階で回答する簡便なアンケートです。九つの質問には、①歩行能力・筋力、②敏捷性、③動的バランス、④静的バランス(閉眼)、⑤静的バランス(開眼)が含まれており、同様にレーダーチャートを作成します。「身体機能計測」と「身体的特性」の二つを同じレーダーチャート上に記録すると、体力測定による実際の身体機能計測結果とそれに対する自分自身の自己認識の差異が見えてきます。これにより、自己認識より体力測定結果がよい場合(図表5)、逆の場合、全体的によい場合、悪い場合、項目によりばらばらな場合など、自分自身の課題やリスクがどこにあるかがわかるようになっています。この結果により、体力の維持向上に努めたり、職場の整理整頓など転倒リスクを最小化するなどの対応を検討することができます。また、体力測定の実施に際しては、事故やけがのないように注意して行ってください。おわりに4生涯現役で働くための従業員の健康づくりのポイントは、「健康」と「体力・機能」です。厚生労働省による「エイジフレンドリーガイドライン」に沿って、従来の健康管理をより活用するとともに、体力測定を実施しましょう。特に現場作業がある事業場においては、体力測定によりリスク評価を行い、運動習慣の確立や転倒災害などの防止につなげたいものです。質問内容回答No.⒈ 人ごみの中、正面から来る人にぶつからず、よけて歩けますか①自信がない ②あまり自信がない ③人並み程度 ④少し自信がある ⑤自信がある⒉ 同年代に比べて体力に自信はありますか①自信がない ②あまり自信がない ③人並み程度 ④やや自信がある ⑤自信がある⒊ 突発的な事態に対する体の反応は素早い方だと思いますか①素早くないと思う ②あまり素早くない方と思う ③普通④やや素早い方と思う ⑤素早い方と思う⒋ 歩行中、小さい段差に足を引っかけたとき、すぐに次の足が出ると思いますか①自信がない ②あまり自信がない ③少し自信がある ④かなり自信がある ⑤とても自信がある⒌ 片足で立ったまま靴下を履くことができると思いますか①できないと思う ②最近やってないができないと思う ③最近やってないが何回かに1回はできると思う ④最近やってないができると思う ⑤できると思う⒍ 一直線に引いたラインの上を、継ぎ足歩行(後ろ足のかかとを前脚のつま先に付けるように歩く)で簡単に歩くことができると思いますか①継ぎ足歩行ができない ②継ぎ足歩行はできるがラインからずれる③ゆっくりであればできる ④普通にできる ⑤簡単にできる⒎ 眼を閉じて片足でどのくらい立つ自信がありますか①10秒以内 ②20秒程度 ③40秒程度 ④1分程度 ⑤それ以上⒏ 電車に乗って、つり革につかまらずどのくらい立っていられると思いますか①10秒以内 ②30秒程度 ③1分程度 ④2分程度 ⑤3分以上⒐ 眼を開けて片足でどのくらい立つ自信がありますか①15秒以内 ②30秒程度 ③1分程度 ④1分30秒程度 ⑤2分以上図表4 「身体的特性」質問票(転倒等リスク評価セルフチェック票より)出典:厚生労働省「エイジフレンドリーガイドライン」図表5 レーダーチャートと対策の一例(転倒等リスク評価セルフチェック票より)あなたの身体機能(太線)は、自己認識(点線)よりも高い状態にあります。このことから、比較的自分の体力について慎重に評価する傾向にあるといえます。生活習慣や加齢により急激に能力が下がる項目もありますので、今後も過信することなく、体力の維持向上に努めましょう。一方、太線が点線より大きくても全体的に枠が小さい場合(特に2以下)は、すでに身体機能面で転倒等のリスクが高いといえます。筋力やバランス能力の向上、整理整頓や転倒・転落しやすい箇所の削減に努めてください。パターン1身体機能計測結果 > 質問票回答結果①歩行能力・筋力⑤静的バランス(開眼)④静的バランス(閉眼)③動的バランス②敏捷性54321出典:厚生労働省「エイジフレンドリーガイドライン」また、職場の整理整頓がなされていない場合などには転倒等リスクが高まることがありますので注意しましょう。

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