エルダー2022年5月号
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2022.528ネージャーの休暇や急な体調不良での休みなどの際の代行員として、日常のマンション管理にあたる。つまり、臨時で対応してくれるシニアフロントマネージャーの存在により、マンション管理員が休暇を取得しても、管理活動が維持できる体制が構築されている。「健康経営優良法人2022(ホワイト500)」に認定60歳以上の従業員が約6割を占める同社には、10代から80代まで、幅広い年齢層の従業員が勤務している。その一人ひとりが安心して長く働ける健康づくりを推進していくことが、企業の成長を支える基盤であるという方針のもと、2019年に「大和ライフネクスト健康宣言」を制定した。この宣言に基づき、同社では健康経営の取組みに注力し、2020年から毎年、日本健康会議が認定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に選定されている。このほど公表された「健康経営優良法人2022」では、大規模法人部門の上位500社に付与される「ホワイト500」の冠を得た。同社の健康経営の取組みは、①産業医・保健師と連携した健康管理体制の強化、②従業員一人ひとりが高い健康意識を持って楽しみながら取り組める施策を軸にして推進されている。具体的には、健康診断受診率100%を目ざすとともに、健康保険組合・産業医・保健師・職場が連携を取りながら二次検査の受診勧奨、治療状況の確認、保健指導など個別の事後フォローを徹底。さらに、生活習慣病予防、健康リテラシー向上の取組みを進めている。これらの成果の一例をあげると、健康診断の二次検査の受診率が、2018年度の27%から2019年度は73%まで向上した。コロナ禍の影響により、2020年度は定期健診の時期が大幅に遅れ、一部の対象者の集計を見送ったことから、2020年度の二次検診受診率は48・3%まで低下したが、ハイリスク者に対してのフォローは確実に実施しているという。また、従業員の健康リテラシーの向上を目的に、毎月発行する全従業員向けの社内報や社内ポータルサイトを通じて、健康増進に有益な情報の発信を行っている。WEB環境が整っていない、あるいは、紙媒体のほうが読みやすいというシニア層へは、季節ごとの健康や安全に関する知識などを、文字の大きさにも配慮してまとめた社内報に同封して郵送するなどの工夫をこらしている。そのほか、全従業員を対象に、外部講師によるオンラインでの健康セミナーを定期的に開催し、参加を呼びかけている。健診結果に基づく地道なフォローが病気の早期発見、治療に結びつく健康経営の推進に取り組む人事部OS給与・福利厚生課の水みず澤さわ晶あき子こ課長は、同社の高齢従業員について「もともと一定の健康リテラシーを持っており、生活習慣もしっかりしている方が多いです。運動習慣についても、管理員という業務特性もあるかとは思いますが、男女ともに全国平均より高い結果が出ています」と紹介する。こうした特徴をふまえ、同社では「健康を保って長く活躍してもらう」という考え方のもと、高齢従業員に対しては健康の“維持”に注力した取組みを行っている。具体的には、健康診断を通じた取組みを重視し、産業医・保健師と連携して健康管理体制を強化するなかで、健診結果に基づいて産業医や保健師が積極的に介入し、二次検査の受診勧奨、治療状況の確認など、個別の事後フォローを徹底。これらの地道な取組みが、病気の早期発見、治療に結びついてきている。また、高齢従業員については、現場での安全衛生対策とけがをした際のケア、無理をさせない働き方の徹底にも取組みの重点を置いている。多くの高齢従業員がになうマンション管理員

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