エルダー2022年5月号
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特集生涯現役時代の安心・安全な職場とは?エルダー29の主な仕事は、マンション共用部分の清掃、館内巡回、受付、事務管理などだ。そのなかで、わずかな段差につまずいて転倒する、ふり向いたときに何かにぶつかる、ぎっくり腰になるといったことが、生じているという。そのため、ラジオ体操の実施や転倒防止対策を行いながら、一方で、病気やけがをして休職した際や、治療と就労の両立支援に尽力し、長く働き続けられる職場づくりを推進している。「休職しても、安心して治療に専念し復帰を目ざせるよう、直属の上司と人事、産業保健スタッフが連携できる体制を構築しています。休職前には、制度説明や生活の保障の確認などを行い、本人が復職に向けた道筋をイメージしやすいように支えるなど、安心して休職できる環境が整ってきました。復職時には『この状態であればこういった勤務が可能である』という産業医の判断のもと、状況によって配置転換をするなどの調整を行い、無理のない働き方ができるようにサポートします。体系化までは至っていませんが、こうした取組みを強化するなかで、復職者数が増えてきました」(水澤課長)メンタルヘルス以外の病気やけがによる同社の休職者は年間約200人。3年前はそのなかで50人ほどが退職していたが、復職者が徐々に増えて、現在の退職者は約30人に減っているそうだ。マンション管理員にスマートフォンを貸与出退勤管理から情報伝達へ用途が拡大マンション管理員は原則一人勤務で、それぞれの勤務時間も異なるため、一斉にラジオ体操をすることができない。また、ルールを設けることもむずかしいため、一人ひとりの健康・安全への知識や関心を高めていくことと、仕組みを構築して実施できる取組みの推進に注力している。例えば、マンション管理員にはスマートフォンを貸与している。使い方は、マンション事業部や支社の担当者が希望に応じてマンツーマンで手厚く教えたそうだ。当初は、「出退勤管理」をスマートフォンで行うことを目的として貸与を始めたものだが、2021年度からスマートフォン向けアプリを活用して、「マンション事業部報」の発信を開始。マンション管理員に向けて、業務情報を発信するだけではなく、健康や安全に関する情報も発信し、情報の共有や業務知識のアップデートを促進している。事業部報の発信にあたっては、マンション管理員にスマートフォンで読んでもらえるよう、再度マンツーマンでアプリの使い方を教えるなどの工夫を重ね、現在マンション管理員の約7割がスマートフォンでこの事業部報を読む状況になっている。スマートフォンを活用した情報発信は、タイムリーな情報を迅速に届けることができ、マンション事業部報では定期的に、トラブルを回避する情報として、「靴底は減っていませんか」、「熱中症予防をしていますか」などの内容を発信。労働災害防止に向けた事例を動画で伝えることなども行っている。マンション事業本部人材企画部の五いがらし十嵐真弓部長はスマートフォンを活用した事業部報の活用状況について「例えば、よく見られている動画が『転倒事例』です。アプリを使うと、どんスマートフォンアプリで発信している「マンション事業部報」(画像提供:大和ライフネクスト株式会社)

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