エルダー2022年5月号
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エルダー31特集生涯現役時代の安心・安全な職場とは?人を大切にする社風が生んだ社員に寄り添うサポート体制株式会社松下産業は、1959(昭和34)年に東京都文京区で創業。以来、高度成長の風を受けて業容を拡大し、半世紀を超えたいま、総合建設会社として地域の街づくりに貢献している。オフィスビル、商業施設、マンションなどの大型物件をはじめ、有名建築家とのコラボレーションなど高い技術と品質を誇る。同社は230人の社員を擁し、平均年齢は40・8歳(2022︿令和4﹀年現在)で、働き盛りの世代が会社の中核をになっている。定年は60歳、定年後は希望すれば再雇用制度を利用して70歳を超えても働き続けられる環境が整備されている。現在、60歳以上の社員は24人。多くは現場監督の業務に就いており、最高年齢の72歳の社員をはじめ、活き活きと働く高齢社員は若手社員のよいお手本になっている。同社の松下和正代表取締役社長は社風について、「創業者である私の父は、郷里からの人材を採用したことにより、家庭的な雰囲気がつくられ、たとえ病気を患っても、あるいはけがをしても、『何か担当できる仕事があるはずだ』という考え方が基本にあったように思います。建設業は『3K※』といわれ課題も多いですが、その一方で、歳を重ね現場で技術を磨いた経験を活かして、現場監督や在宅で働くことも可能な魅力ある業界です。だからこそ社員が安心して長く働ける環境づくりが大切であり、その仕組みづくりを進めてきました。そのことを評価していただき、2012(平成24)年に文京区より『ワーク・ライフ・バランス推進企業』として認定されました」と話す。この認定が契機となり、社員一人ひとりを支援する組織として、2013年に「ヒューマンリソースセンター(以下、HRC)」を設立した。建設会社は残業も多く、施主をはじめ専門工事業者、工事現場の近隣住民など、対人関係の問題も起きやすいことから、メンタル不調者も多かったという。メンタルヘルスの問題は部門の上司にもなかなか相談しにくいという現実も事例3ヒューマンリソースセンターを中心に治療と仕事の両立を手厚くサポート株式会社松下産業︵東京都文京区︶松下和正代表取締役社長(写真提供:株式会社松下産業)※ 3K……「きつい、汚い、危険」の頭文字から生まれた言葉

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