エルダー2022年5月号
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2022.532図表 ヒューマンリソースセンターの役割資料提供:株式会社松下産業ヒューマンリソースセンター採用子育て・介護支援健康管理◦ファミリーデー ◦中学生・高校生職場体験◦大学生インターンシップ◦育児休業・ 介護休業促進施策◦労働時間管理 ◦産業医健康相談 ◦メンタルヘルス ◦インフルエンザ予防接種その他◦福利厚生◦人事評価・昇給昇格◦賞与支給◦表彰◦勤務状況◦配属・ローテーション教育・研修・自己啓発◦階層別研修 ◦技術研修 ◦通信教育 ◦資格取得支援ライフデザイン◦マネープラン セミナー◦キャリア相談 ◦確定拠出年金あり、すべての相談を受けとめる独立した部署をつくろうと、松下社長が自らHRCの立ち上げを発案した。採用から退職までトータルで支援社員の相談にワンストップ対応それまで、現場のライン任せになっていた課題に取り組むべく、教育・研修、子育てや介護支援、健康管理、マネープランなど、採用から退職まで一元的に支援する組織が誕生した。設立当初のメンバーは、総務系の取締役1人、技術部門の統括部長2人、管理部門の女性課長1人の陣容であった。このときの女性課長が、現在HRCの業務を一手にになっている齋さい藤とう朋とも子こセンター長だ。「メンバー構成には社長の思い入れが強く表れています。経営層や管理職の人たちに兼務してもらったのは、部門長の意識改革を考えてのことだったと思います。開設当時は『ワーク・ライフ・バランス』の考え方は、いまほど浸透していませんでした。また、家族へのきめ細やかな対応という意味からも、女性社員活用の場にしたいという考えもあったのだと思います。私は商社などの勤務を経て、2007年に中途入社しましたが、2013年からHRCの運営にかかわり、2016年にHRCのセンター長になりました。週1回のミーティングを実施し、さまざまな情報発信をするなかで、試行錯誤しながら問題解決の糸口を見出してようやく軌道に乗り、いまに至っています」HRCは、ワンストップで社員に関する情報を集約し、個々を多角的にサポートする。社員の採用から人材教育、配属、キャリア支援はもちろん、確定拠出年金(日本版401K)の活用を含めたマネープラン講座、ワーク・ライフ・バランス推進や社員のメンタルヘルスなど、さまざまな側面から社員をバックアップしている(図表)。その役割のイメージは、顧客の要望や質問に対して創意工夫をし、迅速に対応するホテルのコンシェルジュのような存在だ。当初の目標であるワーク・ライフ・バランスの実現を目ざしつつ、時代の流れのなかで、病気を患った社員の治療と仕事の両立支援に力を注いでいる。HRCのスタッフは、治療をしながら働き続ける社員の問題解決のために専門家との連携を進めてきた。がんの場合は産業医の助言を受け、メンタルヘルスに精通している顧問社会保険労務士に労務管理面での見直しを含め相談している。また、退院後は産業医を通じて主治医との連携を図っているほか、産業保健師のフォローも大きな力となっている。「当社では、社員のニーズに応じて柔軟な支援に取り組んでいます。コロナ禍で在宅勤務という働き方がすっかり定着しましたが、当社では、それ以前より社員の希望をもとに在宅勤務制度を取り入れています。大腸がんに罹患した40代の社員が末期で通勤が困難になり、治療を受けながら自宅で仕事をしたいという希望に応

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