エルダー2022年5月号
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エルダー41し、ほぼ20代の女性が占めています。客室部の業務管理全般から、新人研修をはじめとした社員の教育全般、ときには料理提供までこなすという菖蒲さん。「接客は長年の経験がありますが、事務職は部長職になってからなので5年目です。パソコンを初めて使いましたし、社員教育を全社的に任されるのも初めてのことでした」菖蒲さんの仕事のなかで、特に重要な業務がシフト管理です。館内には食事処がいくつもあり、個人の能力と休暇の取得状況に加えて、お客さまの予約変更に対応してやりくりしますが、もし当日体調不良で欠勤があればシフトを一から組み直さなくてはなりません。とても複雑で神経と労力を使い、ミスがあるとクレームにつながりかねない業務です。以前はシフトの関係で休みの日でも会社から連絡がくることがあったといいますが、現在は管理業務ができる人材も育ってきており、しっかり休めるようになったそうです。もう一つ、菖蒲さんが担当している重要な業務が後継者の育成です。菖蒲さんの定年時は後継者が育っておらず、ひとまず部長職を3年延長してその間に育成することになりました。「当社のサービス提供の仕方、基本的な接客方法をしっかり現場で経験し学んでもらってから役職の仕事に就いてもらいたいと考えています。他部署から異動してきた後継者候補の方には、いまは接客を担当してもらっています。現場の社員を管理するので、現場経験を積み重ねないと、パートナー社員たちにもうまくアドバイスができないはずです。現場ではいろいろなことが起こりますから。若い社員が成長していく姿を見ることができるのもやりがいです。でも、人を育てるのは本当にむずかしいですね。自分が思ったようにはならないものです。新人研修では、お盆を両手で持つことから教えています。すべて両手を使わなくてはならず、そのような基本的なことを研修で実践的に教えています。いまは栓抜きを使ったことがない若手も多く、研修ではビールの栓を抜くことから教えます。また、魔法瓶タイプの保温ポットを知らず、『電源プラグがない』と探すので、時代の変化を感じます。毎年教えることが増えますね(笑)」入社4年目、客室部主任の山やま川かわ祥さちさん(22歳)は、菖蒲さんが一から教えた社員の一人です。山川さんは菖蒲さんについて「現場でどんなことが起きても頼りになる、なくてはならない存在です。私が後輩のことで困っていると、いろいろと相談にのってくれて、ダメなところは指摘してくれます。日々、感謝でいっぱいです」とにこやかに語ってくれました。山川さんは、入社1年目で最優秀新人賞を受賞しました。菖蒲さんは「山川さんは素晴らしい成長が見られた時期がありました。全員一致で新人賞が決まったときは嬉しかったですね」とふり返ります。湯元舘で働くベテラン社員は、知識と経験が豊富で、部署の中核をになっている人ばかり。針谷代表取締役財務責任者は「今後は各部署において彼らの後継者を育成するために業務内容をマニュアル化して、次の世代に引き継いでいきたい」と今後の方針を話しました。 (取材・西村玲)客室部部長の菖蒲ひとみさん(右)と客室部主任の山川祥さん

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