エルダー2022年5月号
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はじめに1前回まで、主にシニア部分に焦点をあてて見てきましたが、人はいきなりシニアになるわけではありません。ミドル期を経てシニア期を迎えます。働く期間が延び、このミドルの時期は長くなってきています。今回は、シニア期のキャリアをとらえるうえで、変化への対応という視点から、ヒントとなりそうな、いくつかの理論を紹介したいと思います。サビカス〜キャリア・アダプタビリティ2第2回(本誌2022年2月号)のスーパーのところで「キャリア・アダプタビリティ」という概念を紹介しましたが、これを中核的概念の一つとし、さまざまなキャリア理論を統合して、「キャリア構築理論(Career Construction Theory)」を組み立てたのが、マーク・L・サビカスです。キャリア構築理論は、「職業パーソナリティ(vocational personality)」、「キャリア・アダプタビリティ(career adaptability)」、「ライフテーマ(life theme)」という三つの主要概念から成り立っています。一つ目の「職業パーソナリティ」は、どんな職業が自分に合っているのか(What)に関係する概念です。二つ目の「キャリア・アダプタビリティ」は、自分のなかで起こることだけでなく、外で起こるさまざまなできごとにも目を向けたもので、どのようにして絶えず変化する社会環境に適応していくのか(How)にかかわる概念です。サビカスは、キャリア・アダプタビリティに対して、段階的に、関心(concern)、統制(control)、好奇心(curiosity)、自信(confidence)事業創造大学院大学教授浅野 浩美 健康寿命の延伸や、高年齢者雇用安定法の改正による70歳就業の努力義務化などにより、就業期間の長期化が進んでいます。そのなかで、シニアの活躍をうながしていくためにも「キャリア理論」への理解を深めることは欠かせません。本企画ではキャリア理論について学びながら、生涯現役時代における〝シニアのキャリア理論〞について浅野浩美教授に解説していただきます(編集部)。シニアのキャリアを理解するシニア期に向けてのキャリアをどうとらえるか第5回

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