エルダー2022年5月号
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今回、取り上げたいテーマは、再雇用の開始時点ではなく、「再雇用後に更新するときの労働条件の変更について」です。再雇用後の更新時にも、労働条件の変更を行うことは不可能ではありませんが、多くの企業においては、定年から再雇用への切り替えの際に条件を引き下げていることが多く、さらなる条件変更が許容されるのか問題となります。裁判例の紹介2定年後の労働条件変更が争点になった裁判例を紹介します(東京地裁令和3年7月29日判決)。定年後の再雇用について1定年後の再雇用制度については、高年齢者雇用安定法に基づき65歳までの継続雇用などが求められています。ところで、再雇用を開始するときには、使用者からの労働条件の変更がまったく許容されていないわけではなく、合理的な裁量の範囲内で、定年前までの労働条件から変更した内容で提示することは可能と考えられています。ただし、職務の内容や範囲などが定年前と同一になっている場合には、同一労働同一賃金の問題が生じることがあることには注意が必要です。条件変更にあたって、具体的な説明などを行っていない場合には、違法な雇止めになる可能性がありますので、説明などはていねいに行っておくべきです。説明の前提として、変更後の労働条件は早期に明示したうえで、説明に臨むことが適切でしょう。A1年ごとに契約を更新している再雇用者の労働条件を変更する際の留意点について知りたい定年後再雇用している労働者の労働条件について、更新の際に変更することを提案しました。該当者からは、労働条件の変更に応じた者もいましたが、一部の労働者が納得しなかったことから、再雇用の合意に至らなかったものとして、契約を終了することになりました。何か問題があるでしょうか。Q1第48回 定年後再雇用者の労働条件変更と自由な意思、メンタルヘルス不調者と配置転換弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2022.546知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q

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