エルダー2022年5月号
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2022.550埼玉県さいたま市に本部がある生活協同組合コープみらいは、旧ちばコープ、旧さいたまコープ、旧コープとうきょうの3生協が組織合同して誕生した日本最大級の生協である。正規従業員数が3285人、パート・アルバイト職員は1万528人(2021〈令和3〉年3月20日現在)にのぼるという同生協では、2013(平成25)年の組織合同を機に、それまで各生協で独自に実施していた治療と仕事の両立支援策を統一し、新たな「復職支援制度」を策定。2021年度は制度対象者65人、復職支援終了者49人(退職者3人)という運用実績を残している。そこで、この制度の中心的役割を果たしている人事部の中なか村むら仁ひとし部長、総務部労働安全衛生課担当主任の深ふか井い好よし子こ看護師、人事課の佐さ野の行ゆき生お課長、企画担当の馬ば場ば勝かつ規のりさん、そして実際に両立支援を受けて職場復帰を果たした古ふる矢や博ひろ文ぶみさんの5人に、それぞれの立場から同生協の取組みについてお話をうかがった。自身に病気をよく知ってもらい支援体制を整える 同生協における復職支援体制は現在、人事教育担当4人、健康管理センター看護師4人、産業医として内科医3人、外科医1人、精神科医3人という人員で、それぞれが療養期から仮復職就労期まで五つのステップに分けられた期間のなかで連携し、役割を果たしている(図表)。「制度を適用するにあたり何よりも優先するのは本人の復職に対する意思、意欲です。もちろん主治医の許可も必要となりますが、まずは本人が自分の仕事と病気にどう向き合っていくかをしっかりと聞き出したうえで、復帰支援のロードマップを策定していくという姿勢は運用 加齢により疾病リスクが高まる一方、近年の診断技術や治療方法の進歩により、かつては「不治の病」とされていた疾病が「長くつき合う病気」に変化しつつあり、治療をしながら働ける環境の整備も進んでいます。本連載では、治療と仕事の両立を支える企業の両立支援の取組みと支援を受けた本人の経験談を紹介します。病気とともに働く生活協同組合コープみらい10年以上も前から復職支援制度を運用病気の予防にも力を入れ、要支援者ゼロを目ざす第二回図表 生活協同組合コープみらいの復帰支援ロードマップ復職支援Ⅰ〔休職期間〕第1ステップ療養期第2ステップリハビリ期第3ステップ復職準備期(リハビリ訓練)第4ステップ職場復帰の決定第5ステップ職場復帰審議・判定・承認復職支援Ⅱ〔仮復職就労〕復職2年間復職後1年以内の同一系統疾病・3回目以降の複数回休職は通算管理((3~4カ月(基本)審議・判定・承認審議・判定・承認審議・判定・承認1年(基本)(延長1年可)

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