エルダー2022年5月号
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株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2022.552今回は福利厚生について取り上げます。基本中の基本用語ですが、あらためて概要や背景、実施状況などをみていきたいと思います。福利厚生は大きく二つに分類される福利厚生を一言でまとめたもので筆者がもっともわかりやすいと思ったのが、「企業が、労働力の確保・定着、勤労意欲・能率の向上などの効果を期待して、従業員とその家族に対して提供する各種の施策・制度」という説明です(出典『デジタル大辞泉』小学館)。福利厚生は、企業が費用を負担することを法律で義務づけられている法定福利厚生と、企業が任意で実施する法定外福利厚生に分かれます。 まずは法定福利厚生ですが、こちらは項目が決まっています。① 健康保険…傷病の治療などに対して、従業員の費用負担を軽減するための制度。② 厚生年金保険…日本国内に住んでいる満20歳以上60歳未満全員が加入する国民年金に上乗せして支給される年金。③ 介護保険…高齢者の介護を社会全体で支え合うための保険。④ 雇用保険…失業した際の生活を支え、再就職などに向けた支援をするための保険。⑤ 労災保険…労働者の業務上または通勤による傷病などに対して必要な給付を行う制度。⑥ 子ども・子育て拠出金…国や自治体が実施する子育て支援のための拠出金。①②③は企業と従業員で折半、④は企業と従業員で一定割合を負担、⑤⑥は企業が全額負担となっています。次に法定外福利厚生です。こちらは企業の任意なので実施有無や内容は企業ごとに異なりますが、いくつかに区分されます。2020(令和2)年12月に一般社団法人日本経済団体連合会(以下、「経団連」)が公表した『福利厚生費調査結果報告』が従業員一人一カ月あたりの福利厚生費用平均の内訳を記載していて状況を把握しやすいため、紹介したいと思います(※カッコ内は全産業の平均。代表的なものを金額の高い順に列記)。・ 住宅関連…社宅や持ち家援助(1万1639円)・ ライフサポート…給食、財産形成、ファミリーサポート等(5505円)・ 医療・健康…医療・保健施設運営、ヘルスケアサポート(3187円)・ 文化・体育・レクリエーション…施設・運営、活動への補助(2069円)・ 慶弔関係…慶弔金、法定超の付加給付(51「福利厚生」第24回

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