エルダー2022年6月号
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2022.68もちろん中小企業などでは、それまで行っていた仕事を、本人が可能な範囲で年齢に関係なく継続して行ってもらうという、ミドルスキルの仕事も多いですが、新たに雇用するような場合では、先述の二つのパターンでの活用が多くなっています。企業がシニア人材を活用するときに持つべき視点としても、強みを発揮して長く継続して働いてもらうためには、個人視点と組織視点の二つがあげられます(図表3)。シニアが活躍することで、組織全体への知見の広がりや、多様な視点や判断力が根づくことにより、組織のレベルアップが期待できます。そのためにはシニア個人にしっかり活躍してもらえるようにする部分的視点と、活躍が定着して組織に好影響が波及するような全体的視点が必要です。シニア人材の魅力とはこれまで多くの企業でシニアなどの人材活用のアドバイスをしてきましたが、企業が期待するシニア人材の魅力には、いくつかの共通項があります。「経験・能力の重み」としては、専門性の高さ、確実な職務遂行力、組織の管理マネジメント力、課題の設定・解決力、幅広いネットワーク(人脈)、後進への指導育成力などがあげられます。シニアを受け入れてよかったというケースでは、「安定した人間性」として、人間力の高さや働くことへのマインドセット、人としての成熟度、経験と実績からの社会的信用、蓄積された経験知、醸かもし出る安定感、リーダーシップや主体性などがよく聞かれます。「現場などでの実践力の高さ」については、長年の現場感覚や勘、経験からの行動の意味・※筆者作成※筆者作成図表2 シニア人材活用における二つのスキル図表1 シニア人材の内部活用と外部活用ルーチンワークや定型業務、管理や一般事務、現業での作業や接客サービス、サポートや補佐的な仕事を切り出して任せる など  ワークスキルの活用外部活用外部人材として個人事業主や兼業・副業での契約 など※筆者作成図表3 シニア人材が強みを発揮する二つの視点シニア人材組織視点シニア人材を受け入れる組織の視点として、組織内の各世代がバランスよく働ける組織をつくること個人視点シニア人材個人のパフォーマンス発揮の視点として、本人の保有する能力・経験を十分に活用させること内部活用内部人材(社員)として新規雇用、再雇用、雇用延長など知識・技術の活用と伝承、営業スキルと人脈、経営・マネジメント力などの専門性の発揮や、仕事の習熟、技術・ノウハウ・判断力などの経験の活用 など高度スキルの活用

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