エルダー2022年6月号
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2022.610困難さ、報酬・処遇の適正化等が上位にあげられています(図表5)。役割や業務内容がはっきりしていなかったり、 会社から期待されていることが明確でないとモチベーションが低くなります。周囲からも「何をしているかわからない」とネガティブにとらえられることも散見され、役職者は肩書きが外れたり、これまでの部下が上司になることもあるので、役割などについてコミュニケーションをしっかりとることが大切です。処遇への対応として、継続雇用制度活用での再雇用が非正規雇用の場合、「同一労働同一賃金」などの処遇面での法的な留意が必要となります。定年前と同様の業務を担当するケースについては、企業としてどのような賃金設定を行うかを検討しておくことが重要です。外部人材としてのシニア活用のポイント企業が外部人材を活用することはシニア活用という価値にとどまらず、人口減少下で必要な人的リソースや知的資産を確保する重要な手段です。加えて人件費を変動費にして経営環境変化に対応できること、専門性の活用で従業員の業務量・負担を軽減できること、企業変革のオープンイノベーションを推進できること、ハイコストとならず専門性の高い人材が活用できることなどがあげられます。外部人材をマネジメントするうえでの留意点としては、まずは支援要望を明確にすることが必要で、依頼内容(解決すべき課題、必要な支援内容)が明確であれば、支援を行うシニア人材側も解決に向けた実践力を発揮しやすくなります。外部シニア人材とのコミュニケーションでは、パートナーとして胸襟を開くことが大事です。外部人材に会社の弱みをさらけ出すことに抵抗感を示す経営者は少なくないですが、会社の実態や課題を伝えることで効果的な支援を引き出すことができます。同時に依存しすぎないことも大事です。外部人材はあくまでも支援者であることから、すべてを委ねるのではなく、会社は当事者としての自覚と変革の意識を持とうとすることが必要です。依頼の際には人材育成も含めた支援を要望するのがよいでしょう。多くの企業では人材育成の悩みや課題を抱えており、実務に関する支援に加えて社内人材への教育も含めた要望をすることで、社内へのノウハウ蓄積が可能となります。そして感謝と称賛を忘れないこと。周囲からの感謝や承認はモチベーション向上につながる最大の要因であり、シニアにとって報酬以上の価値となり良好な関係を築くことにもなります。シニアの力といっても多様なものがあり、内部人材と外部人材、自社シニア人材の活用とシニア人材の新規採用、高度スキルの活用とワークスキルの活用といった観点から考えると、多くの企業ではまだまだ活用の余地が大きいことがおわかりいただけると思います。020406080100(%)シニア社員本人の働くモチベーションの低さシニア社員のパフォーマンスの低さシニア社員に対する現場のマネジメントの困難さシニア社員の報酬・処遇の適正化シニア社員に対する健康上の配慮シニア社員のための職務の準備・拡大(職域開発・多様化)シニア社員の能力・スキル不足シニア社員に対する給与原資の確保70歳までの就労機会確保努力義務への対応16.615.636.831.016.010.928.344.918.68.929.642.917.910.830.041.417.09.133.140.815.912.333.438.517.111.333.438.322.512.029.436.120.312.032.135.6現在も将来も、課題としては認識していないn=8001~5年後に、課題になってくる5~10年後に、課題になってくる現在、すでに課題になっている出典:株式会社パーソル総合研究所「企業のシニア人材マネジメントに関する実態調査」(2020年)図表5 シニア人材への課題感

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