エルダー2022年6月号
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2022.616ともあります。一般的なコンサルタントのイメージとは異なるので、あえてトレーナーと呼んでいます」と森もり戸と正まさ和かず専務取締役は説明する。トレーナーが同社に入社する典型的なケースは、50代後半でトヨタから出向し、60歳の定年後にそのまま同社に入社するというもの。トヨタ時代の縦のつながりで元上司が後輩を誘い、活き活きと活躍する元上司の姿を見て入社に至るケースも少なくない。「大部分のトレーナーはトヨタでしか働いたことがなく、これまで『トヨタの看板』で仕事をしてきた社員ばかりです。そのなかで、『自分が身につけてきた知識や技能で外の世界で勝負できるのか』と、疑問を持ち、『トヨタの外で力を試したい、チャレンジしたい』という思いから入社する人が多いです。ほかにも、『さまざまな業種を見てみたい』という人、『トヨタ生産方式や“カイゼン”という車づくりのノウハウが、まったく異なる業種・業界で本当に役に立つのか試してみたい』という声もあります。経済的な報酬のみを求めて働き続ける人はほとんどいないと思います」(森戸専務)同社に入社することで得られるものについて聞くと、「トヨタで40年間つちかったノウハウや原理・原則を顧客の事業に活かせるという点で、トヨタ時代と連続性があります。一方で、トヨタを退社するので、60歳でも初心にかえって仕事に取り組めるという点が非連続性であり、これもメリットだと考えます。トヨタに残っていれば大ベテランですが、当社に入れば新人、若手として扱われる。この連続性と非連続性が魅力となり、入社するポイントの一つになっているのではないでしょうか」と説明する。在籍しているトレーナーの平均年齢は65歳。最高年齢は73歳だ。概ね58〜62歳は「若手」と呼ばれ、その後は「中堅」、70歳前後でようやく「ベテラン」と呼ばれるようになる。トヨタ時代の上司が同社においてもベテラントレーナーとして、かつての後輩・部下の指導にあたるということもよくある話だ。「かつては10年ほど在籍して67〜68歳で退社するケースが多かったのですが、近年は退社する年齢が上がって70歳超まで伸びました。この先何歳まで伸びるかにも注目しています」と岡内次長は話す。トヨタ式の人づくり・現場づくりで顧客の課題を根本から改善するOJTソリューションズが提供するサービスは大きく分けて2種類ある。一つは「ソリューション」といい、顧客の要望に合わせてフルカスタマイズして課題解決を行うもの。例えば「納期を短縮したい」、「品質向上を図りたい」という企業の要望に合わせて最適な提案を行う。もう一つは「改善眼」といい、顧客の課題に合わせて既定のプログラムのなかから最適なサービスを提案するものだ。「ソリューション」は、トレーナーが主に二人一組になり専属で現場指導にあたる。ほぼ毎週訪問するという手厚さも魅力だ。指導の単位は半年だがリピートすることが多く、1年半ほど続くケースが多い。一方、「改善眼」は一人のトレーナーが3~4社を掛け持ちする。契約は1年単位だが、こちらはトレーナーの訪問は月1回で、トレーナー不在時は顧客企業の自主活動が要となる。具体的な現場指導の一つとして、まず基準づくりから始めることがある。基準とは、物の大森戸正和専務取締役

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