エルダー2022年6月号
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2022.618新鮮である一方、学ばなくてはならないことも多くあります。新人研修では身なりの整え方から、顧客に対する言葉づかいまで指導し、入社後4カ月間は指導役のアドバイザーがつき、OJTで指導を行います」(岡内次長)独り立ちした後も、期初・期中・期末に面談を実施し、課題の設定、仕事のふり返りを行うほか、各種勉強会などを通して継続的な学びの支援を行っている。森戸専務はトレーナーの日々の努力について次のように評価する。「トレーナーはお客さまから〝理想の上司”として尊敬されている人物も多く、その一挙手一投足が注目されているということを知っています。いろいろと質問もされますから、トレーナーは情報収集や自己研さんを怠らず、トレーナー同士で相互アドバイスを行ったりして、準備をして現場に挑んでいます。」全国を飛び回るトレーナーを各種制度で強力にバックアップここで、OJTソリューションズが高齢であるトレーナーの活躍を後押しするために取り入れている制度を紹介する。■在宅勤務制度 名古屋を拠点に全国に出向き、しかも1カ月の半分程度は出張先に滞在することになるトレーナーの仕事は、高齢でなくても身体に負担がかかる。そこで、2002年の創業直後から事務的な仕事については在宅で行うことができるよう、在宅勤務制度を導入している。トヨタ出身者のため、トヨタ本社がある豊田市に自宅を持つトレーナーが多く、通勤に1時間強かかることから、移動の負担の軽減につながっている。■インターバル休暇 顧客の契約は半年もしくは1年単位だが、繁忙時は矢継ぎ早に仕事が続くということもある。そこで年次有給休暇以外に、リフレッシュを目的としたインターバル休暇制度を導入している。1年に2回、5日連続で取得できる休暇で、インターバル休暇と年次有給休暇の取得率はほぼ100%である。■フレキシブル勤務制度 進捗がスムーズで、早めに仕事を切り上げられるとき、あるいは介護などのためにフルタイムで働けないときに、就業日数をフレキシブルに変更できる制度を導入している。■スキルドパートナー制度 70歳を超えると毎週の出張が体力的に厳しいという人が出てくる。こうした局面を迎えたトレーナーに活用されている制度で、例えば月1回のみの指導などスポットで働き続けることが可能になる。雇用形態は時間給のパートタイマーに切り替わる。昔からの安心感と新しい刺激がベテランの活躍を促進する縦のつながりが深いトヨタでは、先輩は後輩の「めんどう」をよくみるといい、『めんどう見』というハンドブックを配付するほど大切にしている考え方だ。OJTソリューションズでもそれは引き継がれている。「例えば、同じ工場で働いていた後輩のことは、特に気にかかるものです。声かけをして、相談に乗り、困ったことがあればフォローします。後輩は先輩に面倒をみてもらえることで安心します。一方で会社が変わると、新しい人間関係のなかで交流するという新しい刺激もあります。引退して家に閉じこもり、出会いもない生活になると、身体は衰えて元気がなくなってしまうこともあるでしょうし、かといって刺激ばかりでは疲れるものです。安心感と刺激という二つの要素が、定年後も力を発揮するために大切なのではないでしょうか」(森戸専務)同社に存在する安心と刺激はトレーナーの持てる力を引き出し、全国の企業現場の改善に貢献している。定年後もビジネスの第一線で活躍してもらうために、「安心」と「刺激」という二つの要素を取り入れるのも一つの方法かもしれない。

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