エルダー2022年6月号
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エルダー19特集ビジネスの最前線で輝く高齢者の力とは?独自開発した高性能センサーの応用製品の研究・開発に取り組むロボセンサー技研株式会社は、2016(平成28)年8月、代表取締役の大村昌まさ良よしさん(62歳)が静岡県浜松市で創業した。たった1人でスタートしたベンチャー企業の同社だが、2022(令和4)年3月現在の従業員数は12人(うち正規社員は5人)となり、本社に加え、東京支店も開設。国内で取引先を増やしつつ、さらに世界へと羽ばたく準備を着々と進めている。同社は、動きや振動を検出する「ロボセンサーⓇ」を独自開発し、産業・ロボット分野や医療・介護・福祉分野などに活用できる応用製品の研究・開発、普及に取り組んでいる。ロボセンサーⓇは、振動などの力が加わると電圧を発生するフィルム状の「高分子圧電材料(ピエゾ素子)」を、髪の毛より細い導線に巻きつけ、ワイヤー状のセンサーとして形成したもの。特許取得の「独自のシールド構造」によりノイズを除去し、従来のセンサーより高感度を実現した。設置する対象物の形状や大きさにかかわらず、0・1ヘルツ~3メガヘルツの広帯域でこれまで感知できなかった微細な振動を感知できることも特徴だ。そうした構造や性能でありながら、直径わずか0・5ミリの極細・軽量を実現。細いうえ柔軟なため、曲げたり、巻きつけたりするなど任意の形状に変形できるほか、自己発電性でセンサー信号を自ら発生することから電源が不要といった利点もある。同社はこのセンサーを応用して、「人々の暮らしを支え、豊かな社会に貢献する」ことをミッションに掲げている。微細な振動を検知し機械や設備の予知保全に活躍同社を訪ねると、大村社長がロボセンサーⓇの機能を目の前で見せてくれた。センサーを近くにあったハンディタイプの扇風機に巻くと、扇風機の羽の振動を感知し、計測されたデータがパソコン画面に波形として示された。扇風機のスイッチが強と弱のときでは、波形がまったく違うことがひと目でわかる。次に、センサーの上に携帯電話を置いて着信音を鳴らすと、メロディの強弱を感知して、やはりその細かい波形がパソコン画面に示された。ロボセンサーⓇは、「感知した振動や触覚をデータ化し、共有できるようにした装置です」と大村社長は説明する。わかりやすい実験をしていただいたが、たいロボセンサー技研株式会社︵静岡県浜松市︶事例2長年磨き続けたスキルを活かして起業新たな仲間を得て社会に役立つセンサーを開発

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