エルダー2022年6月号
22/68

2022.620へん高性能であり、丈夫で耐水性や耐油性にもすぐれ、かつ、現有設備に後から容易に取りつけが可能だという。すでに産業分野での応用開発が進んでおり、主に、工場ラインなどの不具合の監視装置として用いられている。「わずかな異音や微細な振動を感知できるため、工場での機械や設備の予知保全用センサーとしての活用が拡大しています」(大村社長)社長自らが設置を行っており、最近は大規模プラントのベルトコンベアに設置したそうだ。ベルトコンベアの保守には経験のある人材によるパトロールなどが必要だが、このセンサーはその作業を大いに助け、また、異常を早く把握できるため、想定外の操業停止や機器の重大な損傷を防止することができ、稼働率向上やコスト面で大きなメリットが得られるという。100社以上に履歴書を送るも再就職の道は厳しく、起業を決意独自開発したセンサーの販売先企業数は、2019年は17社だったが、2020年には79社、2021年には158社に増加。取引先は大手企業がほとんどだ。売上げは、2019年から2020年の1年間で9・5倍に大幅増。センサーにかかわるコンサルタント事業、システム開発などでも引き合いが多くなった。いまでこそ多方面から注目を集めるが、ここに至るまでには多くの苦労と努力があったという。大村社長は、広島大学大学院工学研究科を修了後、富士通株式会社、ヤマハ株式会社にて半導体やセンサーの技術開発に従事。30年以上の経験を積み、50代前半で早期退職した。その後は別会社に再就職するも業績不振により2015年に退職を余儀なくされる。以降、技術開発のノウハウが活かせる仕事を探して100社以上に履歴書を送ったが、再就職の道は険しいものだった。「一度、最終面接まで通った会社もありましたが、2人のうち1人が採用され、私は年齢で断られました」と大村社長。ロボセンサー技研を起業したのは、「ほかに選択肢がなかったから」と話すが、「起業して、好きな開発の仕事を続けよう」と一念発起。家族の支えと自分の楽観的な性格が背中を押してくれたという。センサー開発の取組みは、ロボット関連の展示会を見学した際、「触覚センサーはまだ進んでいない」と感じたことがきっかけになった。ただ、半導体素子は開発費がふくらむため手を出せないと判断し、圧電素子(ピエゾ素子)を使った繊維のようなセンサーの開発を決意。試大村昌良代表取締役直径0.5ミリのロボセンサー®。巻きつけたり、曲げたりすることも可能。長さは数キロまで伸ばせる

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る