エルダー2022年6月号
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エルダー23特集ビジネスの最前線で輝く高齢者の力とは?創業から1世紀以上の歴史を持つ業界最大手の損害保険会社日本最大手の損害保険会社である東京海上日動火災保険株式会社は、創業から1世紀以上の歴史を持ち、抜群の知名度を誇る。大学生の就職先人気ランキング上位の常連としても有名であり、自じ由ゆう闊かっ達たつな社風が特徴だ。CSR(企業の社会的責任)活動にも早くから地道に取り組んでおり、1999(平成11)年から継続しているマングローブの植林や、2009年から保険約款などの紙資料をWEBに切り替えるGreenGiftプロジェクトを展開するなど、息の長い環境保護活動を進めている。代表的な取扱い損害保険の種類は、一般的になじみのある個人向けの自動車保険、火災・地震保険や傷害保険とともに、法人向けの賠償責任保険、貨物・運送保険、火災保険など多岐にわたる。人事労務施策でも、さまざまな取組みを展開しているが、なかでも2021(令和3)年からスタートさせた、定年を迎えるシニアを対象とする、高度な専門性を求められるポストの公募制度「シニア戦略ジョブ」制度は、大きな注目を集めている。この公募制度を中心に同社の定年後のシニアの再雇用制度について紹介する。バブル期入社組の定年を控え再雇用制度の整備・活用を検討同社の従業員数は、シニア社員とパートタイマーを除く正社員が1万6208人(2022年3月末時点)。定年後再雇用のシニア社員は約850人(2022年4月時点)となっている。現役世代の年齢構成をみると、多くの大企業と同様に、バブル期の大量採用世代が50代となって大きなボリュームを占めており、3~4年後にはこの世代が定年を迎え始めるため、定年後再雇用制度の整備と活用のあり方の検討が喫緊の課題となっている。定年年齢は60歳で、再雇用の上限は制度上65歳となっており、現在の再雇用制度は、①通常の再雇用制度、②「シニアお役に立ちたい」、③「シニア戦略ジョブ」︱︱の三つ。70歳までの就業確保の努力義務化については、部分的に個別対応として取り組み始めたところだ。65歳以降では、体力面や気力面も含めて、個人差が大きく、年齢的にも介護など個別の事情があるため、これに応じた柔軟な働き方を組み込んだ制度の構築を検討しているという。通常の再雇用制度では、定年を迎える3年前から定年後の再雇用について、定期的にアンケート形式で、どのような立場、どのような働東京海上日動火災保険株式会社︵東京都千代田区︶事例3定年後再雇用のシニアの活躍の場を広げる二つの社内公募制を導入

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