エルダー2022年6月号
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2022.632い、ベテランにはなるべく頭を使う仕事を中心に従事してもらう風土が定着しています」と藤田次長。ベテランと若手が、うまく補完しあう関係ができているのです。ベテラン社員に対して若い社員からは、「熱心にわかりやすく指導していただき、とても頼りになります。相談ごとに対しても自分の経験に基づいてアドバイスしていただき、尊敬しています」などの声があがっています。今回は、若手にとって「憧れの存在」である西村雅之さん(65歳)にお話を聞きました。必要とされている実感が力に西村さんは、48歳で入社して、勤続年数は17年。以前の勤め先でも同じ仕事をしており、包装資材の仕事歴は40年になります。60歳の定年まで技術課の課長を務め、現在も技術課に在籍し、フルタイムで週5日勤務しています。「仕事は、包装設計にともなう一連の業務です。お客さまとの製品化の打合せから、図面作成、試作、仕上げへの詰め、CADによる図面化、製造発注までを担当します」と西村さん。例えば、ある新商品の容器をつくる仕事の場合、お客さまからのオーダーを元にイメージ図を描き、営業や製造の担当者とも連携しながら製品化のように話します。「15歳から64歳の生産年齢人口が減少する一方で、65歳以上の人口は今後も増加することが顕著であるなか、65歳以上で働く意欲のある方に雇用、就業機会をいかに確保するかが重要だと考えています。当社ではいま、技術の継承に力を入れています。今年度は3人の新規学卒者が入社しました。ベテラン社員には、65歳を超えても能力を十分に発揮して、若い社員の手本として活躍してほしいと考えています」同社では、多品種一品物の受注生産が中心で、経験の浅い社員では対処できない仕事があり、そうした場合は、要所に配置しているベテラン社員が経験を活かし、試行錯誤をしながら若い社員を指導して仕事を進めています。現場では、「日ごろから、同じ工程にいる若い社員が力仕事をにな経験豊富な高齢社員を活用することが、経営面からも必要となることを説明し、高齢者雇用について幅広く意見交換をしました。そして、「高齢社員が持つ強みの活用と働きやすい職場の実現を提案し、70歳までの継続雇用制度の整備をおすすめしました。ベテラン社員の知識を若手社員に継承することや、多能工化によりできる仕事の種類・範囲を広げておくこともアドバイスしました」と小林プランナー。この提案をふまえて2021年7月、同社は従来の65歳までの継続雇用制度の年齢を引き上げ、個別の労働契約の合意のもと、70歳まで継続雇用する制度へと改めました。定年は60歳。65歳までの継続雇用は5年契約で、65歳以降は1年ごとの契約としています。勤務時間の短縮などを希望する場合は、会社と働き方の話合いの場を設けているほか、継続雇用後も仕事ぶりを評価する制度があり、大きな差が生まれることはないそうですが、評価結果を賃金に反映しています。70歳超についての制度はありませんが、会社が必要と認め、本人も働くことを希望する場合は継続して雇用しています。現在、70歳を超えた方は3人勤務しています。総務課の藤田弥わたる次長は、70歳までの継続雇用を導入した同社の高齢者雇用の考え方について、次総務課 藤田弥次長

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