エルダー2022年6月号
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エルダー33を進めていきます。「形のないところからつくっていくので、発想力が必要です。そういった〝ものづくり〞をおもしろいと感じられることが大事だと思います。私はこの仕事が好きで、おかげさまで楽しく続けられています」と笑顔で話します。西村さんは、年間60点もの製品を生み出しています。苦労はしても、手がけたものが製品化され、店頭に並んだときの喜びが次のエネルギーになっているそうです。また、西村さんの仕事に対する姿勢を、会社が尊重してくれていることも感じており、「自分が会社から必要とされている」と実感できることが、常に仕事の原動力になっていると語ってくれました。藤田次長は、「後進の育成もしっかり行ってくれて、『西村さんのようになりたい』と若手社員からいわれています。これからも長く働き続けてほしいです」と話します。技術課の中村太一さん(24歳)は、「西村さんは、社内外から信頼されており、製品に対する発想力にはいつも感動しています。トラブルや困ったときの対応力もすごいと思います」と敬意を表します。継続雇用制度が70歳まで引き上げられたことについては、「上司に長く勤務してもらえる環境となり、仕事の継承がこれまで以上に充実したものになると思います」と話してくれました。働きやすい職場の実現が不可欠同社では「社員は家族」との考え方から、各種制度を整備するとともに、有給休暇などの取得を促進。現在はコロナ禍で休止中ですが、社員旅行や忘年会なども社員みんなで楽しむ会社です。「社長を中心に、だれもが働きやすい環境づくりを推進し、育児休業なども取得しやすい職場になってきました」と藤田次長。小林プランナーは、同社のこうした取組みについて次のように語ります。「休暇を取得したり、短時間勤務や残業免除を選択したりするなど、働く時間に制約があることを前提とした人材の活用が、多くの企業で今後はさらに増えていきます。企業が安定的に収益を上げていくためには、年齢にかかわらず、働きやすい職場の実現が不可欠です。同社では、育児休業や有給休暇が取りやすい職場づくりを進めており、すでに働きやすい環境が整っており、70歳雇用がそこにかみ合って実現されたのだと思います。そして、それらにより、生産性の向上や技術の継承に効果が出てきていると思います」同社は、2020年1月に丹波工場の旧工場などを解体し、生産現場に配慮した新工場を建設しました。同時に、現工場の設備を新工場に移設し、さらに増設も行い、今後の生産体制を整えています。また、環境負荷軽減に向けた取組みも引き続き推進しています。「今後は、より多様な商品形態に対応する必要があると考えています。高齢社員には、豊富な経験と技術を存分に活かしてもらい、後進の育成と環境面に配慮した社会貢献にさらに取り組んでいくことを期待しています。技術の継承をしっかり行うことで、事業の継続を目ざしていきます」(藤田次長)社是の「常に改善への努力」を実践している同社では、高齢者雇用の取組みも現状で完了とは考えていないようです。ゆくゆくは、定年年齢の引上げと賃金制度の再構築を行うべく、中長期的な計画の課題にあげています。 (取材・増山美智子)CADソフトを利用して製品図面を作成する西村雅之さん

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