エルダー2022年6月号
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はじめに1ここまで、シニア期に焦点をあてつつ、キャリア理論を紹介してきました。何歳からシニアというのかについて、はっきりさせないまま、連載を進めてきましたが、改めて感じるのは、「シニア」といわれる年齢は、時代によってかなり違い、また、ミドルの後期のような人からかなり年齢が上の人まで、年齢幅が広く、しかも多様であるということです。生きていればだれもが、いずれその多様なシニアの一人になるわけですが、どうすればシニア期のキャリアを納得いくものとすることができるのでしょうか。納得いくキャリアを歩むためには、それに見合うものも必要です。最終回の今回は、シニアの能力と、シニアの学びについて考えたうえで、シニア期のキャリアのために、企業側、働く側は何ができるのかについて考え、連載を終えたいと思います。シニアと能力2アメリカの心理学者であるレイモンド・B・キャッテルは、ヒトの知能は大きく、流動性知能(Fluid intelligence)と結晶性知能(Crystallized intelligence)に分類されるとしました。流動性知能というのは、記憶・計算・図形・推理などに関する問題によって測定することができる知能。一方、結晶性知能というのは、言語理解・一般的知識などに関する問題によって測定することができる知能です。この二つの種類の知能については、たくさんの研究がなされています。そして、流動性知能は加齢にともなって低下していく一方、結晶性知能は、成人に達した後も上昇し、長く維持さ★ 本連載の第1回から最終回までを、当機構ホームページでまとめてお読みいただけます  https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/series.html事業創造大学院大学教授浅野 浩美 健康寿命の延伸や、高年齢者雇用安定法の改正による70歳就業の努力義務化などにより、就業期間の長期化が進んでいます。そのなかで、シニアの活躍をうながしていくためにも「キャリア理論」への理解を深めることは欠かせません。本企画ではキャリア理論について学びながら、生涯現役時代における〝シニアのキャリア理論〞について浅野浩美教授が解説。今回で最終回となります(編集部)。シニアのキャリアを理解するシニア期のキャリアを納得いくものとするには最終回

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