エルダー2022年6月号
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エルダー3す。人材育成というのは、KABSが実施する所定の研修を受講し、登録した方に、「介護離職防止対策アドバイザーⓇ」という資格を付与する事業です。企業の人事担当者やキャリアコンサルタントを中心に、受講者は現在約300人となりました。コロナ禍になってからはオンラインで実施しているので、遠方からの参加者も増えています。 ワーク&ケアバランス研究所は、2018年に法人化し、「仕事と介護の両立」を目的とした従業員向け研修や人事向け研修、個別の介護相談を行っています。2020(令和2)年からは介護者支援サービス「ケアラーズ・コンシェル」を始めました。チャットによる個別相談、動画やテキストによる情報提供、会員同士のコミュニケーションの場となる掲示板などのコンテンツをそろえています。―ウェブで気軽に相談できる場所があるのは、介護者にとって心強いですね。和氣 介護保険などの制度を解説するだけではなく、介護を行う当事者ならではの目線から、制度を上手に活用する知識やツールを提供しているのが強みです。例えば、ケアマネジャーや地域包括支援センターの専門職とコミュニケーションをとる際に、伝えるべきことや聞いて確かめておいたほうがよいことなどをまとめたシートがダウンロードできるようになっています。 現代はウェブ検索でたいていのことはわかります。それでも経験の浅い介護者が壁を前に右往左往するのは、何を検索したらよいのかがわからないからです。例えば、「地域包括支援センター」や「ケアマネジャー」は、介護をしていない人には縁遠い言葉ですが、介護者にとっては重要なキーワードです。知識が不足しているために悩む時間は、できるだけ短いほうがよいのです。―働きながら介護をしている人からは、どんな相談が寄せられていますか。和氣 相談内容は多様で個別的ですが、参考だと思っていましたが、しだいにいっぱいいっぱいになり、仲間たちと相談し、法人を設立しました。それが「一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KカブスABS)」です。―KABSとワーク&ケアバランス研究所では、どのような活動をされていますか。和氣 KABSは、関係省庁や経団連、連合などさまざまな団体と議論を重ね、「介護をしながら働くことがあたり前の社会」をつくるための政策提言、情報発信・啓発を目的としたシンポジウムや人材育成を行っていま必要な情報を得るためには検索すべき言葉を知ること

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